
ネットワークエンジニアの方なら、一度は「CCIE(Cisco Certified Internetwork Expert)」という資格の名前を聞いたことがあるでしょう。ネットワーク系資格の最高位に位置していて、世界的に最高水準のネットワーク技術スキルを有していることを証明できる資格です。ネットワーク業界においては同様の国家資格よりも価値が高い資格と言われています。
この記事では、CCIE資格についてリサーチ中というネットワークエンジニアの方に向け、CCIE資格やその難易度、受験料、勉強時間について、3つのCCIE資格を20年以上保有し続けているタカハマプロジェクト代表 高濱幸喜さんの解説とともにご紹介します。CCIE資格挑戦を検討しているネットワークエンジニアの方は、ぜひ記事を最後までチェックしてみてください。
CCIEってどんな資格?
CCIEは、Cisco Certified Internetwork Expertを略したもので、世界的なネットワーク企業のシスコシステムズが提供する技術者認定プログラムの一つです。
シスコ社の認定プログラムは、難易度によって下記の4つの段階に分かれています。
シスコ社の認定プログラムの難易度
- エントリ
- アソシエイト
- プロフェッショナル
- エキスパート
エキスパートのCCIEは、シスコ認定プログラムの最高位資格になります。
CCIEのトラック
CCIEの中では、分野によって下記の6種類のトラック(*)に分かれています。
*トラック:資格が対象とする特定の技術領域(専門分野)の意味
- CCIE Enterprise Infrastructure
- CCIE Security
- CCIE Collaboration
- CCIE DataCenter
- CCIE Enterprise Wireless
- CCIE Service Provider
6種類のCCIE資格について、高濱さんに説明していただきます。
CCIE Enterprise Infrastructure
CCIE Enterprise Infrastructureは、シスコ社が最初にリリースしたトラックです。
ネットワークの基礎であるルーティングや、スイッチングをベースとしたエンタープライズネットワークの深い知識が問われます。私は、3回目のラボ試験挑戦でなんとか合格できました。
CCIE Security
CCIE Securityは、シスコ社のセキュリティ製品を使った複雑なセキュリティ技術や知識を問われるトラックです。
個人的には、このセキュリティトラックが最も難しかったと感じています。実は4つめのCCIE取得を目指して挑戦しましたが、ラボ試験で撃沈。合格には至りませんでした(笑)
CCIE Collaboration
CCIE Collaborationは、シスコ社の音声・コラボレーションシステムの深い知識を問われる試験です。IP電話システムだけでなく、それらを適切に通信するQoSなど、総合的な知識が必要となります。
とにかくラボ試験での設定量が多く、順当に設定を実施しても時間が足りない試験でした。私は、前のバージョンであるCCIE Voiceに、3回目のラボ試験挑戦で合格しました。
CCIE DataCenter
CCIE DataCenterは、シスコ社のストレージ製品を組み合わせたデータセンターネットワークの深い知識を問われる試験です。
このトラックの古いバージョンであるCCIE Starageに、2回目のラボ試験挑戦で合格しました。
CCIE Wireless
CCIE Wirelessは、Wi-Fi技術を使ったワイヤレスネットワーク技術の深い知識が問われる試験です。
このトラックについては筆記試験のみ挑戦し合格しましたが、ラボ試験の挑戦には至りませんでした。
CCIE Service Provider
CCIE Service Providerは、サービスプロバイダ―が構築するネットワーク技術の深い知識を問われる試験です。
このトラックについては筆記試験のみ挑戦し合格しましたが、ラボ試験の挑戦には至りませんでした。
ちなみに、本記事では取り上げませんが、エキスパートレベルにはDevNet Expert、CCDEという資格もあります。
CCIEの難易度は? 合格率はどのくらいある?
CCIEが国家資格よりも資格価値が高いと言われている理由の一つに、その難易度の高さがあります。ネットワークエンジニアやセキュリティエンジニアとして、高度なスキルを有していることを国際的に証明できるため、ネットワーク系資格の中で最も難易度が高い資格です。
CCIE資格を取得するためには、Written試験と呼ばれる筆記試験と、実機を使ったラボ試験の2つをクリアしなければいけません。1度目の受験でいきなり合格することは難しく、筆記試験をクリアした後、3年以内にラボ試験をパスしなければ筆記試験の合格も無効になってしまいます。
CCIEの合格率は、公表されていません。また合格基準も公表されていません。CCIEの6つの分野の中には、合格率が10%を下回るのではないかと言われているものもあり、その難易度の高さが伺えます。

シスコ社は、2010年を最後にCCIE保持者の人数を公開していません。当時は日本国内で約1100人、世界で約20000人でした。複数のCCIEを保持している人となるとさらに少なくなります。
これは個人的な肌感覚ですが、3つ以上保持しているCCIEホルダーは、日本国内だと数十人程度なのではないでしょうか。
試験内容が非常に難しい上に受験料も高額であることから、現在も合格率はそこまで高くないのではないかと推測します。
CCIEの勉強時間は? 独学でも受かる?
CCIE資格取得に必要な勉強時間は、一般的に1,000〜2,000時間が必要と言われています。もちろん受験者それぞれのキャリアやスキル、事前知識によって異なりますが、一般的な勉強時間を見るだけでもCCIEの難易度の高さがわかります。
独学だけでCCIE資格を取得することも不可能ではないでしょう。受験資格はなく、18歳以上の方ならどなたでも挑戦することはできます。しかし、シスコ社は“受験の前に試験の内容をよく理解しておく必要があり、5年〜7年の各分野の実務経験を持つことを推奨します”としており、実務経験がある方以上の努力と忍耐が求められることになります。
合格者はどのように勉強してる?
実際にCCIEに合格し、3つのCCIE資格を保有している高濱さんは、どのように勉強して試験に臨んだのでしょうか。高濱さんに受験当時のことを思い出して、勉強方法や合格のコツを説明していただきましょう。
筆記試験は、ひたすら問題集や参考となる書籍、シスコ社の技術サイトを元に勉強を重ねました。ラボ試験は、会社で用意されていた実機環境を使って、ひたすら設定を繰り返し身体にしみこませていきました。ラボ環境が会社にあるのは本当にラッキーだったと思います。
最も苦労したのは勉強時間の確保です。会社に早朝出社して始業時間まで勉強、お昼休みに勉強、帰宅後も寝るまで勉強、土日も勉強、それでも時間が足りなくなると、睡眠時間を削って勉強時間を確保していました。
ラボ試験が近くなってきたら、妻にお願いして小さい子供と共に実家へ帰ってもらったりもしました。そこまでやって試験に落ちたときのショックは、計り知れないくらい大きかったのを覚えています。
試験本番ですが、1回目はとにかく問題を覚えられるだけ覚えて帰ることを心がけ、試験終了後にすぐ近くのカフェで覚えている内容をノートに書きました。そして、その内容を再現検証して2回目以降の試験に臨む、という事を繰り返しました。
こういう生活を続けることで合格にたどり着きました。こんな事を3回もやったということになりますね(笑)
CCIE取得で年収はどう変わる?
CCIEはネットワークエンジニアの世界最高峰資格のため、資格を保有できれば大幅な年収アップが見込める資格と言えます。もちろん、資格を取得すれば年収アップが保証されているわけではなく、実務経験も等しく重要になります。しかし、多大な時間(勉強時間)とお金(受験費用)をかけても、取得できれば大きなメリットを受けられる資格です。
資格取得で昇給につながったり、転職の際には世界的に認められているスキルを有している人材であることが証明できるため、キャリアアップとともに年収アップにもつながる可能性は多いにあります。
CCIEを保持することは、間違いなくキャリアには有利だと感じています。CCIEを持っている私からすると、CCIEを持つ人は深い知識を持つ事に加え、合格までコツコツとやり切れる人の証明でもあると思っています。
転職活動時、CCIEを持っていたことでオファー額がグンと上がった経験があります。そんなことから、CCIEを持っていることは年収アップにつながりやすいのではないかと考えます。
ネットワークエンジニアなら誰もが憧れるCCIE
今回の記事では、「ネットワークエンジニアなら誰もが憧れる」と言われるシスコ社の認定資格CCIEについて、CCIEトリプルホルダーである高濱さんの監修・解説とともにご紹介しました。
CCIEは、資格取得まで多大な努力が必要になる最難関資格の一つです。資格取得後も3年毎の更新が必要と、資格を保有し続けるハードルも低くありません。しかし取得まで続けた努力は確実に自身の成長につながり、キャリアアップの面でも大きなメリットとなるでしょう。
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