プロジェクトマネジメント研修とは、プロジェクトを計画・実行・監視し、成果につなげるために必要な知識、スキル、実務手法を学ぶ研修です。企業では、プロジェクトマネージャー(PM)候補者やプロジェクトリーダー(PL)、管理職、PMO担当者の育成を目的に導入されることが多くあります。
一方で、研修会社やカリキュラムは多く、「基礎研修と実務型研修のどちらを選ぶべきか」「プロジェクトマネジメントの研修は自社に必要なのか」「受講後に現場で活用されるのか」と迷う人材育成担当者も少なくありません。
この記事では、PMP資格保有者監修のもと、企業がプロジェクトマネジメント研修を導入すべき理由、研修で学ぶべき内容、研修会社の比較ポイント、現場定着につなげる方法を解説します。研修を受けて終わりにせず、自社のPM育成に生かすための判断材料として参考にしてください。
企業がプロジェクトマネジメント研修を導入すべき理由
企業がプロジェクトマネジメント研修を導入する目的は、単にスタッフに知識を学ばせることではありません。
本来の目的は、プロジェクトを安定して進められる人材を育て、遅延、手戻り、品質問題、関係者間の認識ズレを減らすことです。
特に、複数部門が関わる業務改善、システム導入、DX推進、AI活用、新規事業などでは、プロジェクト管理の型を持つ人材が必要になります。
プロジェクト管理が属人化すると、遅延・手戻り・品質問題が起きやすい
プロジェクト管理が一部の経験者に依存していると、進め方が属人化しやすくなります。
たとえば、あるPMはWBSを作成してタスクを整理している一方で、別のPMは口頭や個人メモだけで進行しているという状態です。このような状態では、プロジェクトごとに管理品質がばらつきます。
属人化が進むと、以下のような問題が起こりやすくなります。
- 作業の抜け漏れに気づきにくい
- スケジュール遅延を早期に発見できない
- 課題やリスクが個人の判断に依存する
- 関係者への報告粒度がそろわない
- 担当者が変わると管理方法も変わる
プロジェクトマネジメント研修では、WBS、スケジュール管理、課題管理、リスク管理、ステークホルダー対応などを体系的に学びます。これにより、個人の経験だけに頼らず、組織として共通の管理方法を持ちやすくなります。
PM候補者は経験だけでは育ちにくい
プロジェクトマネージャー(PM)候補者は、現場経験を積めば自然に育つわけではありません。
もちろん、実務経験は重要です。しかし、PMに求められる役割は幅広く、単に担当業務をこなすだけでは身につきにくいスキルもあります。
PMには、スケジュール管理、品質管理、コスト管理、課題管理、リスク管理、関係者調整、意思決定、報告、ファシリテーションなど、複数のスキルが必要です。
特に、プロジェクトリーダー(PL)や中堅社員がPM候補者になる場合、現場の作業推進は得意でも、プロジェクト全体の計画や関係者調整には慣れていないことがあります。
経験だけに任せると、育成スピードや習得内容にばらつきが出ます。プロジェクトマネジメント研修を活用すれば、PMに必要な知識とスキルを体系的に整理し、実務経験と組み合わせながら育成しやすくなります。
法人研修では「知識習得」より「現場で使える状態」にすることが重要
法人向けのプロジェクトマネジメント研修では、知識を学ぶだけでなく、現場で使える状態にすることが重要です。
たとえば、PMBOKの知識を理解していても、実際のプロジェクトでWBSを作れない、課題管理表を運用できない、会議で関係者の合意を取れない状態では、研修効果は限定的です。
企業研修では、以下のような実務への接続が求められます。
- 自社プロジェクトに近いケースで演習する
- WBSやRACIなどの管理資料を作成する
- 講師からフィードバックを受ける
- 研修後に実プロジェクトで使うテンプレートを整える
- 学んだ内容を上司やPMOがフォローする
知識を学ぶ研修と、現場で活用する研修は別物です。企業が研修を選ぶ際は、「受講者が研修後に何を実践できるようになるか」を基準にすることが大切です。
プロジェクトの進め方、管理方法に絶対の正解はありません。要はうまく目標を達成すればプロジェクトは成功です。
その進め方、管理の仕方がその人にしかできないやり方だと、組織としては属人化のリスクが発生してしまいます。
PMBOKを軸にすると、過去のプロジェクト経験から集められた知識を活用でき、かつ多くの人で共通の認識をもってすすめることができます。
こういった内容を研修で習得することは、非常に効率のよい手法であると考えます。
企業向けプロジェクトマネジメント研修で学ぶべき内容
企業向けのプロジェクトマネジメント研修では、PMに必要なスキルを幅広く扱う必要があります。
ただし、すべての内容を一度に詰め込めばよいわけではありません。受講者の経験、役割、育成目的に応じて、基礎知識、計画スキル、推進スキル、対人スキル、定着スキルを組み合わせることが重要です。
ここでは、法人研修で学ぶべき主な内容を整理します。
基礎知識:プロジェクトとは何か、PMは何を管理するのか
まず必要なのは、プロジェクトマネジメントの基礎知識です。
プロジェクトとは、期限があり、独自の成果を生み出す取り組みです。PMは、そのプロジェクトを目的達成に向けて管理・推進する役割を担います。
研修では、以下のような基礎をそろえることが重要です。
- プロジェクトとは何か
- PMの役割とは何か
- プロジェクトマネジメントとは何を管理することか
- QCDとは何か
- スコープ、スケジュール、コスト、品質、リスクとは何か
- ステークホルダーとは誰を指すのか
「QCD」とは、Quality、Cost、Deliveryの略で、品質・コスト・納期を意味します。プロジェクトでは、この3つをバランスよく管理する必要があります。
基礎知識をそろえることで、受講者同士が同じ言葉でプロジェクトを語れるようになります。これは、若手・中堅社員、PL、PM候補者、管理職が同じ研修を受ける際にも重要です。
計画スキル:WBS・スケジュール・プロジェクト計画書
プロジェクトを安定して進めるには、計画スキルが欠かせません。
計画が曖昧なまま始まると、作業の抜け漏れ、担当者の認識ズレ、スケジュール遅延、予算超過につながりやすくなります。
研修で扱いたい代表的な内容は、WBS、スケジュール、プロジェクト計画書です。
WBSとは、Work Breakdown Structureの略で、プロジェクトに必要な作業を階層的に分解する考え方です。WBSを作ることで、必要な作業や成果物を見える化できます。
スケジュール管理では、作業の順序、担当者、開始日、終了日、マイルストーンを整理します。プロジェクト計画書では、目的、体制、スコープ、スケジュール、管理方法、リスクなどをまとめます。
研修では、これらを座学で学ぶだけでなく、実際に作成する演習を取り入れると効果的です。受講者が自分のプロジェクトに近いテーマでWBSや計画書を作成できれば、現場への転用もしやすくなります。
推進スキル:役割分担・課題管理・ミーティング運営
プロジェクトは、計画を作るだけでは進みません。計画後に発生する課題や変更に対応しながら、関係者を巻き込んで前に進める推進スキルが必要です。
研修では、以下のような内容を扱うと実務に結びつきやすくなります。
- 役割分担の決め方
- RACIの使い方
- 課題管理表の作り方
- 定例会議の進め方
- 進捗報告の方法
- 遅延時の対応方法
RACIとは、Responsible、Accountable、Consulted、Informedの頭文字を取ったフレームワークです。実行責任者、説明責任者、相談先、情報共有先を整理する際に使います。
また、課題管理表を使えば、発生した問題、担当者、期限、対応状況を可視化できます。会議運営では、単に報告を受けるだけでなく、何を決める場なのかを明確にすることが大切です。
プロジェクトを推進する力は、PMだけでなく、PLや管理職にも必要です。特に複数部門が関わるプロジェクトでは、役割分担と課題管理の型を学ぶことが成果につながります。
対人スキル:ステークホルダー対応とコミュニケーション
PMには、技術や管理表を扱う力だけでなく、対人スキルも求められます。
ステークホルダーとは、プロジェクトに関わる利害関係者のことです。顧客、経営層、部門責任者、現場担当者、外部パートナー、開発メンバーなどが含まれます。
プロジェクトでは、関係者ごとに期待、優先順位、懸念点が異なります。そのため、PMは相手に応じて伝える内容や粒度を変える必要があります。
たとえば、経営層にはプロジェクトの目的や事業への影響を簡潔に伝える必要があります。現場メンバーには、具体的な作業内容や期限を明確に伝える必要があります。顧客には、進捗、課題、判断が必要な事項をわかりやすく共有する必要があります。
研修では、報告・相談・合意形成・ファシリテーション・交渉などのコミュニケーションスキルも扱うと効果的です。
定着スキル:振り返りとプロジェクト管理の標準化
プロジェクトマネジメント研修では、プロジェクト終了後の振り返りや標準化も重要です。
プロジェクトは、完了して終わりではありません。うまくいった点、課題が残った点、次回に改善すべき点を整理することで、組織のプロジェクト管理力を高められます。
以下のような内容も扱っているかも、研修を選ぶポイントにするとよいでしょう。
- プロジェクトの振り返り方法
- 失敗や課題の共有方法
- テンプレート化の考え方
- 標準的なWBSや課題管理表の整備
- PMOや上司によるフォロー方法
- 次のプロジェクトへの改善反映
特に企業研修では、受講者個人の学びを組織の標準に変えていく視点が重要です。
研修で学んだ内容を、WBSテンプレート、会議アジェンダ、課題管理表、振り返りシートなどに落とし込むことで、現場で繰り返し使いやすくなります。
ここで紹介している内容は、プロジェクト全体を見据えた場合に最低限習得・理解しておくべき項目です。
これらを知識としてまず理解したいのか、すぐに現場で実践したいのか、まずはどこまでなにを習得したいのかを明確にしてからトレーニングを探すほうが良いでしょう。
プロジェクトマネジメント研修の種類と企業向けの選び方
プロジェクトマネジメント研修には、さまざまな種類があります。
企業が研修を選ぶ際は、知名度や費用だけで判断するのではなく、対象者、育成目的、現場課題、受講形式を踏まえて選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な研修の種類と、企業向けの選び方を整理します。
基礎研修は、若手・中堅社員の共通言語づくりに向いている
基礎研修は、プロジェクトに関わる若手・中堅社員や、PM経験が浅い方の共通言語づくりに向いています。
プロジェクトでは、職種や部署が異なるメンバーが同じ目的に向かって動きます。そのため、プロジェクト、スコープ、WBS、マイルストーン、リスク、ステークホルダーなどの基本用語を共通認識として持つことが重要です。
基礎研修では、以下のような内容を扱います。
- プロジェクトとは何か
- PMの役割とは何か
- プロジェクトの進め方
- QCDやスコープの考え方
- WBSやスケジュール管理の基本
- 課題管理やリスク管理の基本
基礎研修は、PM候補者だけでなく、プロジェクトメンバーにも有効です。メンバー側がプロジェクト管理の考え方を理解していると、PMとのコミュニケーションもスムーズになります。
PMBOK研修は、知識体系を整理したい企業に向いている
PMBOK研修は、プロジェクトマネジメントの知識体系を整理したい企業に向いています。
PMBOKとは、プロジェクトマネジメントに関する知識や実務の考え方を体系化したガイドです。プロジェクトマネジメントの基本概念や考え方を体系的に理解する際に役立ちます。
PMBOK研修では、スコープ、スケジュール、コスト、品質、リスク、調達、ステークホルダーなど、プロジェクト管理に関わる要素を体系的に学べます。
社内でプロジェクト管理の用語や考え方がバラバラになっている場合、PMBOKを軸に整理することで、共通の基準を持ちやすくなります。
ただし、PMBOKを学ぶだけで、すぐに現場でプロジェクトを推進できるわけではありません。PMBOK研修は知識体系の整理に有効ですが、実務で使うには、WBS作成、課題管理、会議運営などの演習と組み合わせることが重要です。
実務型研修は、PM候補者・PL・管理職の実践力強化に向いている
実務型研修は、PM候補者、PL、管理職、PMO担当者など、現場でプロジェクトを推進する立場の人に向いています。
実務型研修では、座学だけでなく、ケース演習やグループワークを通じて、実際のプロジェクトに近い状況で学ぶことができます。
たとえば、以下のような演習があります。
- WBSを作成する
- スケジュールを組む
- RACIで役割分担を整理する
- 課題管理表を作る
- ステークホルダーへの報告内容を考える
- 遅延やトラブルへの対応策を検討する
実務型研修のメリットは、受講者が「知っている」状態から「使える」状態に近づきやすいことです。
特に、企業がPM候補者を育成したい場合は、実務型研修が有効です。現場で起こりやすいトラブルや判断場面を扱うことで、受講者が自分の業務に置き換えて考えやすくなります。
オンライン・対面・ハイブリッドは、受講者数と研修目的で選ぶ
プロジェクトマネジメント研修は、オンライン、対面、ハイブリッドなど、さまざまな形式で実施できます。
オンライン研修は、拠点が分かれている企業や、受講者数が多い場合に便利です。移動時間や会場費を抑えやすく、録画や資料共有もしやすいメリットがあります。
対面研修は、グループワークやディスカッション、講師との質疑応答を重視したい場合に向いています。受講者同士の関係性づくりや、深い対話が必要な研修では対面の効果が出やすいです。
ハイブリッド研修は、オンラインと対面を組み合わせる形式です。基礎知識はオンラインで学び、演習やフィードバックは対面で行うなど、目的に応じた設計ができます。
形式を選ぶ際は、受講者数、勤務地、研修時間、演習量、双方向性の必要性を確認しましょう。知識習得が中心ならオンラインでも実施しやすく、実務演習やフィードバックを重視するなら対面やハイブリッドも検討するとよいでしょう。
無料セミナーは情報収集、本格研修は実務定着に使い分ける
無料セミナーと有料の法人研修は、目的を分けて使うことが大切です。
無料セミナーは、情報収集や研修会社の雰囲気を確認する目的に向いています。プロジェクトマネジメントの概要、最新動向、講師の説明スタイルを確認するには有効です。
一方で、無料セミナーだけでPM育成を完結させるのは難しい場合があります。時間が短く、受講者一人ひとりの課題に合わせた演習やフィードバックまでは行われないことが多いためです。
本格的にPM候補者やPLを育成したい場合は、有料の法人研修を検討する方が適しています。自社の課題に合わせてカリキュラムを調整できる研修や、演習・質疑応答・フィードバックが含まれる研修を選ぶことで、現場定着につながりやすくなります。
無料セミナーは比較・情報収集、本格研修は実務定着と位置づけると、目的に応じた使い分けができます。
助成金の角度から少しお話します。厚生労働省には「人材開発支援助成金」という制度があります。
これは従業員のスキルアップにかかる研修費用や訓練中の賃金の一部を国が補助する制度で、研修費用の最大75%の助成を受けることができます。
プロジェクト管理スキルの習得や関連資格(PMPなど)の取得に向けた研修も対象になります。
企業でトレーニングを受講する際には、これらの助成金を活用することも検討されてはいかがでしょうか。
人材開発支援助成金についてはこちらを参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html
企業が研修会社を比較するときのチェックポイント
プロジェクトマネジメント研修を導入する際は、研修会社を比較する視点が重要です。
費用や知名度だけで選ぶと、自社の課題や受講者のレベルに合わない可能性があります。特に法人研修では、カリキュラムの柔軟性、講師の実務経験、演習の有無、定着支援、稟議で説明しやすい成果指標まで確認しておきたいところです。
チェック1:自社の課題に合わせてカリキュラムを調整できるか
最初に確認したいのは、自社の課題に合わせてカリキュラムを調整できるかです。
プロジェクトマネジメント研修といっても、企業によって課題は異なります。
たとえば、以下のような違いがあります。
- PM候補者を育成したい
- PLからPMへステップアップさせたい
- 若手・中堅社員にプロジェクト管理の基礎を学ばせたい
- 管理職にプロジェクト推進の考え方を理解させたい
- PMOとして管理手法を標準化したい
- DXやAI活用プロジェクトを推進できる人材を増やしたい
汎用的な研修でも一定の学びは得られますが、自社課題に合っていなければ現場活用にはつながりにくくなります。
研修会社を比較する際は、事前ヒアリングがあるか、自社の課題に合わせて内容を調整できるか、対象者別に設計できるかを確認しましょう。
チェック2:講師にプロジェクトマネジメントの実務経験があるか
講師の実務経験も重要な比較ポイントです。
プロジェクトマネジメントは、知識だけでなく、現場での判断や関係者調整が成果を左右します。実務経験のある講師であれば、教科書的な説明だけでなく、プロジェクトで起こりやすいトラブルや判断のポイントを具体的に伝えやすくなります。
たとえば、以下のようなテーマでは、実務経験がある講師の方が学びが深まりやすいです。
- スケジュール遅延時の対応
- 顧客や経営層への報告
- メンバー間の認識ズレの解消
- 要件変更への対応
- リスクの早期発見
- PMとPL、PMOの役割分担
研修会社を比較する際は、講師の資格だけでなく、どのような業界・規模・種類のプロジェクトを経験しているかも確認するとよいでしょう。
チェック3:演習・フィードバック・質疑応答があるか
法人研修では、演習・フィードバック・質疑応答の有無も重要です。
プロジェクトマネジメントは、講義を聞くだけでは身につきにくい領域です。受講者が自分で考え、管理資料を作り、講師からフィードバックを受けることで、現場に近い学びになります。
確認したいポイントは以下です。
- WBS作成演習があるか
- スケジュール作成演習があるか
- 課題管理やリスク管理のケース演習があるか
- グループワークがあるか
- 講師からのフィードバックがあるか
- 自社の課題について質疑応答できるか
特に、PM候補者やPL向けの研修では、演習があるかどうかで実務へのつながりやすさが変わります。
研修後に「理解した」で終わらせず、「自分のプロジェクトで使える」と感じてもらうには、演習とフィードバックを重視することが大切です。
チェック4:費用だけでなく、定着支援まで含めて比較する
研修会社を比較するとき、費用は重要な判断材料です。
ただし、費用だけで選ぶと、研修後の定着まで見落としてしまうことがあります。
法人研修では、以下のような支援があるかも確認しましょう。
- 事前ヒアリング
- 対象者別のカリキュラム設計
- 研修後のフォローアップ
- 実プロジェクトへの適用支援
- テンプレート提供
- 受講者アンケートやレポート
- 管理職や人材育成担当者へのフィードバック
安価な研修でも、目的に合っていれば有効です。一方で、現場定着を重視するなら、研修前後の支援まで含めて比較する方がよい場合があります。
研修費用は、単なる受講料ではなく、PM育成やプロジェクト管理力向上への投資として考えることが重要です。
チェック5:稟議で説明しやすい導入目的と成果指標を設定できるか
企業で研修を導入する場合、稟議や社内説明が必要になることがあります。
その際は、「なぜこの研修が必要なのか」「受講後に何が変わるのか」「どのように効果を確認するのか」を説明できるようにしておくことが重要です。
導入目的の例としては、以下があります。
- PM候補者を育成する
- プロジェクト管理の属人化を減らす
- WBSや課題管理表の活用を標準化する
- プロジェクト遅延の早期発見力を高める
- PLや管理職のプロジェクト推進力を強化する
成果指標としては、以下が考えられます。
- WBSを作成しているプロジェクト数
- 課題管理表の運用率
- 定例会議での進捗確認実施率
- 振り返り実施率
- プロジェクト計画書の作成率
- 受講者アンケートや上司評価
研修会社を比較するときは、稟議に使える導入目的や成果指標を一緒に整理できるかも確認するとよいでしょう。
会社の予算でトレーニングを受ける際、どうしても受講したことによる効果を合理的に説明する必要があります。
その際には、本文にあるような指標を参考になさってください。
また、そのトレーニング費用を自己負担するとしたらどうでしょう。その費用を払う価値があるでしょうか。そういった点も自身の指標になると思います。
研修を受けて終わりにせず、PM育成を現場に定着させよう
プロジェクトマネジメント研修は、受講して終わりではありません。
研修で学んだ内容を実プロジェクトで使い、組織の管理方法として定着させることが重要です。
そのためには、研修導入前の設計、研修後の実践機会、管理職やPMOによるフォローが欠かせません。
研修導入前に、対象者・課題・ゴールを整理する
研修を導入する前に、対象者、課題、ゴールを整理しましょう。
対象者が若手・中堅社員なのか、PM候補者なのか、PLなのか、管理職なのかによって、必要な研修内容は変わります。
また、企業側の課題も明確にしておく必要があります。
- プロジェクト管理が属人化している
- PM候補者が育っていない
- WBSや課題管理表が使われていない
- 進捗報告の粒度がそろっていない
- PMOを設置したが現場に定着していない
- AI活用やDX推進プロジェクトを進められる人材が少ない
ゴールを設定せずに研修を選ぶと、受講者にとっては有益でも、企業としての育成成果につながりにくくなります。
「研修後に何ができるようになっていてほしいのか」を明確にしてから、研修内容を選ぶことが大切です。
研修後はWBS・RACI・課題管理表などを実プロジェクトで使う
研修後は、学んだ内容を実プロジェクトで使う機会を設けましょう。
たとえば、研修でWBSを学んだら、次のプロジェクトで実際にWBSを作成します。RACIを学んだら、役割分担表として使います。課題管理表を学んだら、定例会議で運用します。
現場定着につなげるには、以下のような工夫が有効です。
- 研修で使ったテンプレートを社内で共有する
- 受講者が実プロジェクトでWBSを作る機会を設ける
- 上司やPMOが作成物をレビューする
- 研修後にフォローアップ会を実施する
- 成功事例や失敗事例を共有する
- 振り返りで学びを次回に反映する
研修は、実務への橋渡しがあってこそ効果を発揮します。受講者本人だけでなく、上司、PMO、人材育成担当者が連携して定着を支援することが重要です。
自社に合う研修設計に迷ったら、外部のプロPMに相談する
自社に合う研修設計に迷った場合は、外部のプロPMに相談することも有効です。
企業によって、プロジェクトの種類、受講者の経験、組織課題、育成方針は異なります。そのため、一般的な研修メニューをそのまま導入しても、自社の課題に合わないことがあります。
たとえば、以下のような悩みがある場合は、外部の視点を入れると整理しやすくなります。
- PM候補者に何を学ばせるべきかわからない
- PMBOK研修と実務型研修のどちらが合うかわからない
- 研修後に現場で使われるか不安がある
- 部門ごとにプロジェクト管理のやり方が違う
- 研修の稟議で説明する成果指標を整理したい
- AI活用やDX推進に向けてPM育成を強化したい
外部のプロPMに相談することで、自社の課題に合わせた研修設計や、現場定着までを見据えた育成プランを考えやすくなります。
よくある質問:企業向けプロジェクトマネジメント研修で迷いやすいポイント
Q. プロジェクトマネジメント研修の対象者は誰がよいですか?
PM候補者、PL、管理職、PMO担当者、プロジェクトに関わる若手・中堅社員が対象になります。自社の課題が「共通言語づくり」なら幅広い層、「PM育成」ならPM候補者やPLを中心にするとよいでしょう。
Q. オンライン研修でも効果はありますか?
基礎知識の習得や複数拠点の受講にはオンライン研修も有効です。ただし、実務演習や受講者同士の対話を重視する場合は、対面またはハイブリッド形式も検討するとよいでしょう。
Q. PMBOK研修と実務型研修の違いは何ですか?
PMBOK研修は、プロジェクトマネジメントの知識体系を整理する研修です。実務型研修は、WBS作成、課題管理、役割分担、ケース演習などを通じて、現場で使う力を高める研修です。
Q. 研修費用はどのように比較すればよいですか?
受講料だけでなく、事前ヒアリング、カリキュラム調整、演習、フィードバック、研修後フォローの有無を含めて比較することが重要です。稟議では、研修目的と成果指標もあわせて整理しましょう。
企業向け研修は、現場で使えるPM力の定着まで見据えて選ぼう
企業向けプロジェクトマネジメント研修は、知識を学ぶだけでなく、現場で使えるPM力を定着させることが重要です。
研修会社を比較する際は、費用や知名度だけでなく、自社課題に合うカリキュラム、講師の実務経験、演習やフィードバック、研修後の定着支援まで確認しましょう。
PM候補者やPL、管理職が、WBS、RACI、課題管理表、ステークホルダー対応などを実プロジェクトで使えるようになれば、組織全体のプロジェクト推進力は高まりやすくなります。
タカハマプロジェクトでは、プロジェクトマネジメントについて学べるトレーニングコースを、ビギナー向け・PM経験者向けにご用意しております。自社のPM育成や法人研修の設計に課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修者紹介
高濱 幸喜(たかはま ゆきよし)
タカハマプロジェクト株式会社 代表取締役/PMP®資格保有者
20年以上にわたり、IT・通信・金融・製薬業・製造業・建設業など多様な業界でプロジェクトマネージャーとして活躍。PMBOKに基づくプロジェクトマネジメント手法を現場で実践し、数百件を超えるプロジェクトを成功に導いてきた実績を持つ。現在は研修やセミナーを通じて、次世代のプロジェクトマネージャー育成に注力。プロマネ道場では記事監修を担当し、読者に信頼性の高い情報を届けている。
タカハマプロジェクトでは、プロジェクトマネジメントについて学べるトレーニングコースを、「ビギナー向け」「PM経験者向け」にそれぞれご用意しております。まずはお気軽にお問い合わせください。
