「マイルストーン」はビジネスではどう使う? 例文に加えて類似用語との違いを解説

「マイルストーン」はビジネスではどう使う? 例文に加えて類似用語との違いを解説

プロジェクトや業務の進行管理において、「マイルストーン」という言葉を耳にすることがありますよね。ですが、マイルストーンって「具体的にどういう意味?」「ビジネスでの使い方は?」と迷ったことはないでしょうか。

マイルストーンは、単なるスケジュールの一部ではなく、プロジェクト成功のための重要な“中間目標地点”を意味します。進捗の節目を明確にすることで、関係者の認識を揃えたり、遅延を早期に察知したりと、ビジネスシーンでの活用価値は高いです。

この記事では、マイルストーンの意味とビジネスシーンでの使い方を知りたいと思っている方に向けて、マイルストーンの言葉の意味や使い方の例文、そして混同されがちなKPI・タスク・ガントチャート・WBSなどとの違いまでをわかりやすく解説します。

ビジネスでのマイルストーンの意味と使い方

マイルストーンは、ビジネスにおいてプロジェクト進行上の重要な節目や達成点を示す用語です。「プロジェクト期間中に設定されるチェックポイント」と捉えてもらえると、理解しやすいでしょう。

たとえば「設計フェーズ完了」「製品のプロトタイプ完成」「納品1週間前」といったポイントが、マイルストーンに該当します。

スケジュール全体の中でも“必ず達成すべきチェックポイント”として位置付けられ、チームの進捗確認やステークホルダーへの報告タイミングとして活用されます。

使い方としては、「この日をマイルストーンに設定しよう」「納品前のマイルストーンに間に合うか確認してください」といった形で会話や資料内に登場します。

マイルストーンの例文

あくまでも例になりますが、マイルストーンは以下のように使用されます。

  • 「来月中旬のマイルストーンである『顧客レビュー』までに、ドラフトは提出できそうですか」
  • 「マイルストーン通過後に外注先と進捗共有ミーティングを設定しています」
  • 「次のマイルストーンに向けて、タスクの優先順位を調整してください」

このように、日付や成果物を基準に節目を設定することが、マイルストーンの実務的な使い方となります。

マイルストーンの語源と基本概念

マイルストーン(milestone)の語源は、もともと道路脇に立てられていた“距離標識”にあります。

距離の単位である「マイル(mile)」と、石という意味の「ストーン(stone)」からきています。もともとは、鉄道や道路などの距離(マイル)を測る際に石(ストーン)を印として使っていたためで、これがマイルストーンの語源と言われています。

この意味がビジネスに転用され、現在ではプロジェクト進行における“進捗の目印”を意味するようになりました。

高濱 幸喜

私が経験してきたプロジェクトで見かけたマイルストーンの例としては、以下のようなものがありました。

・成果物の役員へのお披露目
・新システムのパイロット拠点運用開始
・各フェーズ進捗報告およびGo/No Go 判定

プロジェクトの進捗観点のマイルストーン以外に、お客様のビジネス的な理由からのイベントとしてのマイルストーンが多いように思います。

混乱しがちな類似用語との違いを比較

お伝えしてきたように、マイルストーンは単なるスケジュール項目ではなく、「ここまでにこのタスクを終える」という中間目標地点=チェックポイントやイベントです。

進捗管理や業務計画の中で、マイルストーンは頻出する用語です。ですが、スケジュールやKPI、タスク、ガントチャート、WBSといった他の用語と混同されているケースも少なくありません。

それぞれ異なる役割や意味を持つため、正しく区別して理解しておくことが重要です。マイルストーンとの違いを整理していきましょう。

マイルストーンとスケジュールの違い

スケジュールは、プロジェクト全体の作業予定を時系列で示したものです。一方、マイルストーンは、その中でも節目となる重要ポイントに絞った目標地点です。

スケジュールが“道のり全体”を示す地図だとすれば、マイルストーンは地図上に記された“通過すべきチェックポイント”という違いがあります。

マイルストーンとKPIの違い

KPI(Key Performance Indicator)は、事業や業務の成果を数値化して評価するための指標です。マイルストーンが地図上の“通過点”であるのに対し、KPIは“目標に向けた達成度”をはかるものです。

マイルストーンは「いつ・何を完了するか」、KPIは「どの程度成果が出ているか」を判断するものと整理すると、違いを理解しやすいのではないでしょうか。

マイルストーンとタスクの違い

タスクは、業務やプロジェクトを構成する個別の作業を指し、マイルストーンはそれらのタスクが一定段階まで進んだときに設定される目標です。

たとえば「設計資料の作成」「レビュー対応」などの複数タスクが完了したとき、「設計フェーズ完了」というマイルストーンに到達します。

マイルストーンとガントチャートの違い

ガントチャートは、スケジュールを可視化するための横棒グラフ形式のチャートです。ガントチャート内では、マイルストーンは“節目のマーク”として使われることが一般的です。

つまり、ガントチャートは全体図を可視化するツールで、マイルストーンはその全体図の到達目標を示す記号・目印という位置づけになります。

マイルストーンとWBSの違い

WBS(Work Breakdown Structure)は、プロジェクト全体を作業単位に細分化した構造図です。タスクや作業の粒度を明確にするのが目的です。

マイルストーンは、WBSで定義された作業が一定段階まで進んだ際の“チェックポイント”となります。WBSが「何をやるか」に対して、マイルストーンは「どこまで進んだか」を示すものといえます。

マイルストーンと類似用語の比較まとめ表

用語役割マイルストーンとの違い
スケジュール作業予定を全体で管理節目だけを抜き出したものがマイルストーン
KPI成果の数値目標KPIは数値指標であり、進行節目ではない
タスク作業単位マイルストーンはタスクが終わった結果として設定される
ガントチャートスケジュールのチャートマイルストーンはチャート中に表示される節目
WBS作業構成図WBSはタスク分解の構造。マイルストーンは進捗の目印

ここで掲載した用語とマイルストーンを混同されることがあるとすれば、ひょっとしたら社会人としての経験が比較的浅い方かもしれませんね。

いずれの用語もマイルストーンとは全く異なる内容なので、それぞれの意味を正しく把握し、間違えないようにしましょう。

マイルストーンはプロジェクトの成功に不可欠な概念

マイルストーンとは、ビジネスにおいてプロジェクトの進行上「ここまでに●●を達成する」という節目、到達目標を表す用語です。進捗確認や報告、リスク管理の判断材料として活用され、プロジェクトの成功に不可欠な概念といえます。

混同されやすいスケジュール、KPI、タスク、WBS、ガントチャートとは、それぞれ役割や定義が異なるため、違いを理解して使い分けることが重要です。マイルストーンの意味や使い方を正しく理解することで、プロジェクトの精度やチームの認識共有も一段と向上します。ぜひ実務でも活用してみてください。

監修者紹介

高濱 幸喜(たかはま ゆきよし)
タカハマプロジェクト株式会社 代表取締役/PMP®資格保有者

20年以上にわたり、IT・製造業・建設業など多様な業界でプロジェクトマネージャーとして活躍。PMBOKに基づくプロジェクトマネジメント手法を現場で実践し、数百件を超えるプロジェクトを成功に導いてきた実績を持つ。現在は研修やセミナーを通じて、次世代のプロジェクトマネージャー育成に注力。プロマネ道場では記事監修を担当し、読者に信頼性の高い情報を届けている。

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