プロジェクトマネージャー初心者がやりがちなNG行動5選【経験者が解説】

プロジェクトマネージャー初心者がやりがちなNG行動5選【経験者が解説】

プロジェクトマネージャー(PM)として初めて現場を任されるとき、不安と緊張がつきものです。「やる気」や「誠実さ」だけでは、うまくいかないのがプロジェクト管理の難しいところ。特に初心者のうちは、誰もが同じようなNG行動をとってしまい、“落とし穴”にハマりがちです。

この記事では、PM初心者がやってしまいがちなNG行動を5つ厳選し、監修者による実体験を交えて解説します。記事の後半では、プロジェクトを円滑に進めるために押さえておくべきポイントも紹介しますので、これからPMを任される方、現在進行形で悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

記事の監修は、現役のプロPMとして数々のプロジェクトを成功に導いているタカハマプロジェクト代表 高濱幸喜さんです。

PM初心者がハマりやすい「5つの落とし穴」

PM初心者が陥りやすいのは、目的やゴールが曖昧なまま進行することや、リソース・スケジュールなどの見積もりの甘さ、コミュニケーション不足による信頼低下、問題報告の遅れ、ドキュメント軽視といった行動です。

こういったNG行動を防ぐ意識が、プロジェクト成功への第一歩になります。

1. 目的やゴールを曖昧にしたまま進めてしまう

「とにかくプロジェクトを始めよう」という勢いだけで走り出してしまうのは、初心者にありがちな失敗です。プロジェクトの目的やゴールがチーム内で共有されていないと、メンバーが各自の判断で動いてしまい、結果として方向性がブレる原因になります。

PMは最初に「このプロジェクトはなぜやるのか?」「どんな状態をゴールとするのか?」を明確にし、関係者全員と共通認識を持つことが大切です。共通認識を持つために有益なドキュメントが「プロジェクト憲章」や「プロジェクト計画書」です。プロジェクトの目的やゴールを共有できるプロジェクト憲章やプロジェクト計画書については、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

2. リソースやスケジュールの見積もりが甘い

「たぶん大丈夫だろう…」という楽観的な見積もりも、PM初心者に多いミスです。プロジェクトにおいて人的リソースや時間は限られており、ちょっとした遅れが全体に波及することも珍しくありません。

特に、経験値が浅いと各工程の工数を正確に見積もるのは難しいでしょう。だからこそスケジュールにバッファ(余裕)を持たせる、過去の事例を参考にする、先輩PMなどの周囲にレビューしてもらうといった工夫が求められます。

3. コミュニケーション不足でチームに不信感

PMの役割では、「指示すること」だけでなく「信頼を築くこと」も非常に重要な役割です。ところが、進捗管理や資料作成に忙殺されてしまい、メンバーとの対話をおろそかにすると、メンバーに不安や不満が蓄積され、チーム内に不信感が生まれてしまいます。

日頃から声をかける、課題を拾う、相手の話に耳を傾ける。このような日常的なコミュニケーションが、強いチームをつくる土台になるでしょう。

4. 問題が起きても報告・相談を後回しにする

トラブルが起きたときに「自分でなんとかしよう」「報告すると怒られるかも」と思って問題を一人で抱え込むと、状況をさらに悪化させる原因になります。

PMにとって最も大事なのは「早く伝えること」。問題の早期共有は、組織としての対応力を引き出す鍵になります。問題の大小にかかわらず、早めに上司や関係者と相談するクセをつけましょう。

5. ドキュメント軽視で引き継ぎができない

意外と見落とされがちなのが「記録を残す」という基本動作です。忙しいからと会議の議事録やタスクの根拠を省略してしまうと、メンバーの入れ替わりやリモートワーク時に大きな混乱を招きます。

後工程や他チームとの連携を考えたとき、「情報を誰にでも理解できる形で残す」ことは、PMの大切な仕事の一つと言えます。

高濱 幸喜

紹介した5つのケースは、どれも基本的な事でかつ大問題に発展してしまう行動になります。その中でもとりわけコミュニケーション不足はプロマネが最も気を配らないといけないポイントだと考えます。

私がコミュニケーション不足から引き起こした失敗談をひとつご紹介します。あるプロジェクトでのことです。当時は電子メールがメインで使われていました。通常はプロジェクトメンバー全員が所属するメーリングリストを活用するのですが、そのプロジェクトでは、情報の内容によって送付する人を選定してしまったのです。

どのプロジェクトでも内容によっては特定の人だけに伝えるべき内容というものはありますが、なぜかこの情報はAさんとBさん、この情報はBさんとCさんとDさん、という感じで細かく選別をしてしまったのです。

結果、どの人にどの情報が伝わっているのかがわからなくなってしまい、重要な情報を把握していないメンバーがいたことから設計に大きなミスが発生してしまいました。この失敗を教訓として、今ではよほど機微な情報でない限りはプロジェクトチーム全体で情報を共有するということを徹底しています。

プロジェクト失敗を防ぐために意識すべき3つのポイント

PMにとっては、「すべて自分で抱え込まない」姿勢を持つことが重要なポイントの一つです。また、リスクを事前に想定し対応策を準備すること、報告・相談・共有を早めかつこまめに行う意識が、プロジェクトの円滑な進行と失敗防止につながります。

1. 「全部自分でやらない」を最初に決める

PM初心者ほど「責任は自分が全部取らないと」と思いがちです。しかし、プロジェクトはPM一人で回すことはできません。

プロジェクトメンバーにタスクを適切に任せ、自分は全体の進行管理に集中する。そのためには、タスクの見える化と役割分担を明確にすることが第一歩となります。

プロジェクトメンバーやそれぞれの役割については、下記の記事で詳しく紹介しています。わかりやすく一覧で掲載していますので、あわせてご覧ください。

2. リスク想定と対策の事前シミュレーション

プロジェクトには常にリスクがつきものです。事前に「何が起こりうるか」「それが起きたらどうするか」をチームで共有し、対応策を事前に可能な限りシミュレーションしておくことで、実際に問題が起きたときの対応がスムーズになります。

想定外をゼロにはできませんが、事前のシミュレーションによって「想定済み」を増やすことはできます。事前のリスク想定とシミュレーションもプロジェクトの失敗を防ぐために大切なポイントと言えます。

3. 報告・相談・共有は“早め・こまめ”が基本

プロジェクトがうまくいっているチームの特徴の一つに、「情報が滞らない」ということがあります。ビジネスにおいての基本である報連相(報告・連絡・相談)は、「必要になったとき」ではなく、「その前」にやるくらいがちょうどよいのです。

Slackなどのチャットツールや、週次などの定例ミーティングなど、チームやプロジェクトに合ったツールを活用しながら、情報の見える化を徹底しましょう。

3つとも大事な事ですが、なによりも「早めの報告・連絡・相談」は本当に大切です。これはプロジェクトに関係なく、あらゆる仕事で言えることです。

普段から相談しやすい関係性や雰囲気をつくることもプロマネの大事な仕事になります。

事前の想定をできる限り行い、失敗を防ごう

PM初心者が陥りがちなNG行動は、どれも「真面目に頑張る」人ほど起こりやすいかもしれません。ですが、任せられるタスクはメンバーに任せ、事前にできる限りの想定をしておくだけで防げる失敗を増やすことができます。

この記事で紹介したNG行動を確認し、失敗を防ぐためのポイントを意識してみてください。最初からうまくできる人はいません。どんなPMも、経験を重ねて自分のスタイルをつくっていったはずです。

なお、本記事を監修してくれた高濱さんが代表を務めるタカハマプロジェクトでは、PM育成支援を行っています。プロジェクトマネジメントについて学べるトレーニングコースを、「ビギナー向け」「PM経験者向け」にそれぞれご用意しております。

プロジェクトマネジメントの基本を知りたい方、プロジェクトマネージャーとしてスキルアップしたいという方は、下記のボタンよりお気軽にお問合せください。