
プロジェクトの現場では、スケジュール、コスト、品質、チーム管理など、さまざまな場面で専門用語が飛び交っています。『専門用語ばかりでMTGの内容がよく分からなかった…』。MTG後に、そんな感想を持ったという方も少なくないかもしれません。
この記事では、プロジェクトマネジメントをこれから学ぶ方、勉強中という方に向けて、覚えておきたいプロジェクトの基本用語31選をご紹介します。「プロジェクト」から「WBS」や「マイルストーン」、「PMP」など、プロジェクトの現場でよく使われる言葉をわかりやすく解説しています。
ぜひ記事で紹介する各用語の意味を理解し、一歩ずつ“プロマネ力”を高めていってください。
プロジェクトに関する用語
1.プロジェクト(Project)
プロジェクトは、特定の目的を達成するために人や資材を集めて実施する1回限りの業務のことです。プロジェクトは以下の特徴を持っています。
①明確な期限が定められている
②プロジェクトのために組織が編成され、終了とともに解散する
2.プロジェクトマネジメント(Project Management)
プロジェクトマネジメントは、プロジェクトの成功に向けた計画を立て、リソース、コスト、スケジュールなど、プロジェクト全体を管理していくことです。
3.プロジェクトマネジャー(Project Manager)
プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトの責任者としてプロジェクト全体のマネジメントを行い、プロジェクトを成功に導く役職のことです。明確な定義はなく、PMやプロマネなどと略して呼ばれます。
4.プロジェクトリーダー(Project Leader)
プロジェクトリーダー(PL)は、プロジェクトマネジャーの補佐という立場でサポートしながら、プロジェクトチームのマネジメントを担当する人のことを指します。
5.ステークホルダー(Stakeholder)
ステークホルダーは、プロジェクトの関係者(利害関係のある人や団体)を指します。顧客や取引先、スタッフ、地域社会など、プロジェクトに関係するさまざまな関係者がステークホルダーに該当します。
6.プロジェクトオーナー(Project Owner)
プロジェクトオーナー(PO)は、プロジェクトの発注者のことです。プロジェクトの最終的な意思決定権を持ち、予算や計画、スケジュールの承認など、プロジェクト実施の意思決定を行います。
7.ステアリングコミッティ(Steering Committee)
ステアリングコミッティは、プロジェクトの運営委員会などを指します。大規模なプロジェクトを実施する際、全体の利害調整や最終的な意思決定を行います。ステコミと略して呼ばれています。
8.PMO(プロジェクト マネジメント オフィス)
PMOは、Project Management Office(プロジェクト マネジメント オフィス)の略で、プロジェクトマネジメントを支援する部門や組織のことです。プロジェクトの円滑な運営の啓蒙活動や、PMの支援を行います。

まずはプロジェクトの登場人物や組織に関する用語です。プロジェクトとは何か、プロジェクトマネージャーとはどういった役割の存在かは理解しておきましょう。
またステークホルダーやステコミなどは、プロジェクトに関係しない場面でも耳にすることがある用語です。一般知識として覚えておいたほうが良いと思います。
プロジェクト全体の計画・管理に関する用語
9.プロジェクト憲章
プロジェクト憲章は、プロジェクトを成功に導くためにゴールや目的を定め、予算やスケジュールといったプロジェクトの概要をまとめた文書のことです。英語では「Project Charter(プロジェクト・チャーター)」と呼ばれます。
10.スコープ
スコープ(Scope)とは「範囲」という意味です。プロジェクトでは、目標、成果物、タスクといったプロジェクトの目的を達成するために必要なスコープ(範囲)を定義します。プロジェクトの範囲を管理することを「スコープマネジメント」と言います。
11.スコープクリープ
スコープクリープ(Scope Creep)は、プロジェクトのスコープ(範囲)が、当初の計画を超えて徐々に拡大していくことを指します。プロジェクト進行過程で要件が追加され、当初の計画から予算やスケジュールなどが逸脱してしまうことです。
12.プロジェクト計画書
プロジェクト計画書は、プロジェクトの目的、範囲、スケジュール、予算、必要なリソースなどを記載した文書です。プロジェクトの目的達成までの道のりが記されているため、プロジェクト計画書を関係者間で共有することで、プロジェクトの円滑な進行につながります。
13.マイルストーン
マイルストーン(Milestone)は、プロジェクトを実行する際の「中間目標地点」のことです。プロジェクト管理では、開始から完了までの流れの中で一定の期間ごとに目標を設定し進行していきますが、マイルストーンはその地点ごとの目標達成状況を確認するための「目印」のことを言います。
14.QCD
QCDは、Quality(質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)のことです。それぞれの頭文字を並べてQCDと呼ばれています。プロジェクトマネジメントでよく使用される言葉で、プロジェクトを成功に導くためには、QCDを適切に管理する必要があります。
15.キックオフミーティング
キックオフミーティングは、プロジェクトの開始時に関係者が集まり、プロジェクトの目的や計画を共有し合意するための重要な会議です。キックオフミーティングの参加者はプロジェクトチームのメンバーだけでなく、クライアントや関連部署の担当者など、プロジェクトに関わる全ての人が対象になります。
プロジェクトに関わることになるとよく耳にする用語ばかりですが、プロジェクト憲章はあまり聞きなれないかもしれません。リンク先の記事に詳しく解説しているのでご覧ください。
プロジェクトのスケジュールに関する用語
16.WBS
WBSは、Work Breakdown Structureを略したもので、日本語では「作業分解構成図」などと呼ばれています。Work(作業)をBreakdown(分解)したStructure(構成図)という意味です。プロジェクトのタスクを可視化したもので、タスクの全体像の理解、タスク管理に役立つツールです。
17.ガントチャート
ガントチャートは、WBSで洗い出されたタスクのスケジュール管理用のグラフのことです。グラフ化されていることでタスクの開始・終了時期が一目で分かるため、工程管理や進捗管理をしやすくしてくれるツールです。
18.クリティカルパス
クリティカルパスは、プロジェクトの全工程を最短時間で完了するために重要な作業経路のことを指します。遅延すると次に進むことができず、プロジェクト全体の完了に影響を与えるタスク経路のことです。
19.マスタースケジュール
マスタースケジュールは、プロジェクト全体の開始から終了まで、必要な作業や成果物、スケジュール、マイルストーンなどをまとめた基本計画のことです。プロジェクトの全体像を把握し、進捗状況を効率的に管理するための重要なツールです。
20.ロードマップ
ロードマップは、プロジェクトの目標達成に向けた道筋をまとめた工程表のことです。プロジェクト全体の流れを俯瞰できるよう、方向性を示すために大まかな計画を立てるときに使用します。
21.リードタイム
リードタイムは、作業の始めから終わりまでにかかる総所要時間(期間)のことです。期間は、発注から納品まで、企画からリリースまでなどのように、広く使われる用語です。納期管理や業務効率化のために使用されます。
22.ラグタイム
ラグタイムは、2つの作業や工程の間に設ける待ち時間や遅延時間のことです。先行する作業Aが完了しても、続く作業Bが完了するまで待機する必要がある場合、この待ち時間のことをラグタイムと言います。
23.ベースライン
ベースラインとは、プロジェクト計画の基準となる「目標値」のことを言います。スケジュール・コスト・品質などの初期計画を指し、実績値との比較基準となります。
24.RAM
RAM(Responsibility Assignment Matrix)は、各タスクと担当者の役割・責任を整理する表です。RACIチャートなどが有名で、役割分担を明確にし、認識ズレや抜け漏れを防ぐために使用されます。
スケジュールの組み立てや管理は、プロジェクトマネージャーの重要な仕事のひとつです。どれも重要な用語なので意味をおさえておきましょう。
RAMについては、わかりやすい日本語で言えば「役割分担表」のことになります。説明にあるRACIチャートをはじめとして、整理の仕方はいろいろあります。
プロジェクトの資格に関する用語
25.PMP
PMPは、プロジェクトマネジメントの専門知識を有していることを証明してくれる資格です。日本だけでなく、国際的にプロジェクトマネジメントのスキルを有していることが証明されますので、非常に価値の高い資格と言えます。
26.PMBOK
PMBOKは、Project Management Body of Knowledgeの頭文字を略したもので、プロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたガイドライン(参考文献)です。PMBOKと書いて「ピンボック」と読みます。
27.PMI
PMIは、アメリカの非営利団体Project Management Institute(プロジェクトマネジメント協会)のことです。世界最大のプロジェクトマネジメント協会で、PMP資格の実施やPMBOKガイドを発行しています。
28.プロジェクトマネージャ試験
プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の一つです。情報処理技術者試験の中で最高難度に位置する国家資格で、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施しています。
29.IPA
IPAは、独立行政法人情報処理推進機構のことです。プロジェクトマネージャ試験を主催しています。プロジェクトマネージャ試験の実施方式は筆記で、試験は毎年秋期(10月)に年1回実施されます。
30.P2M
P2Mは、日本プロジェクトマネジメント協会(PMAJ)が運営する資格のことです。PMC、PMSプログラム、PMS、PMRの4段階に分かれています。
31.PMOスペシャリスト認定資格
PMOスペシャリスト認定資格は、日本PMO協会が認定するPM資格です。★でランクが分かれていて、日本PMO協会調べではPMOに特化しているという点で、世界初の資格と言われています。
PM資格を持っていることは、プロジェクト管理の知識と経験を持つ人の証明となります。
試験勉強を通じて、実際のプロジェクトで実施していたことを整理する良い機会にもなります。
用語理解はプロジェクト成功の第一歩
プロジェクトに関係する用語31選をご紹介しました。覚えるのが大変と感じた方もいるかもしれませんが、一つひとつの意味をしっかり押さえることで、チームとのコミュニケーションがスムーズになり、プロジェクト管理の流れや考え方が「わかる」から「できる」へとステップアップしていきます。自信を持ってプロジェクトに挑めるよう、この用語集をご活用いただき、プロジェクトへの理解を深めてください。
なお、記事の監修をしてくれた高濱幸喜さんが代表を務めるタカハマプロジェクトでは、プロジェクトマネジメントの実務に役立つトレーニングコースをご用意しております。プロジェクトマネジメントの基本を知りたい方、プロジェクトマネージャーとしてスキルアップしたいという方は、下記のボタンより、お気軽にお問合せください。