【プロジェクトマネージャーのやりがいとは?】現役PMに聞くプロマネの魅力と大変さ

【プロジェクトマネージャーのやりがいとは?】現役PMに聞くプロマネの魅力と大変さ

プロジェクトマネージャー(PM)という役職に興味を持っているという方は、PMの仕事にはどのような魅力があるかや、どれくらい大変なのかを知りたいと考えている方も少なくないでしょう。その答えは、長くプロマネとして活躍している先輩PMに聞くことが最も具体的で、何よりも参考になるかもしれません。

この記事では、PMとして数々のプロジェクトに携わり、プロジェクトマネージャーの育成支援も行っているタカハマプロジェクト代表の高濱幸喜さんに「プロジェクトマネージャーのやりがい」について、お話を伺いました。PMの仕事の魅力や大変さだけでなく、PMとしての成長、スキルアップを目指す方法についてもアドバイスしてもらっていますので、プロジェクトマネージャーに興味があるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

PMのキャリアは私生活でも役立つ?

高濱 幸喜

タカハマプロジェクト代表の髙濱です。

10数年以上プロジェクトマネージャーとして様々なお客様のIT関連プロジェクトに携わってきました。

今回の記事では、これまでの自分が経験してきたことや学んだことをベースとして質問にお答えします。

Q.1:初めてPMとしてプロジェクトを任されたときのエピソードを聞かせてください。

高濱:プロジェクトマネージャーという名前で案件を任されたのは、前職のITネットワーク企業に勤めていた時です。エンジニアとして10年経ち、このままエンジニアとしてキャリアを積むかどうか悩んでいた時に当時の上司から『ある案件のPMをやってみないか』という提案があり、思い切ってやってみることにしました。

実は、エンジニア時代にも規模の小さな案件では自分が案件のリーダーを務めることもありました。そういった時にはスケジュール管理、スコープ管理、コスト管理、ステークホルダ管理などを行っていたので、すでにプロマネとしての予行演習はやっていたのかもしれませんね。

Q.2:PMになってから、自身に足りないと感じたスキルや必要だと感じたスキルはありましたか?

高濱:足りないと感じたスキルですか(笑)。私自身は『自分の強みと感じている部分を前に出して取り組む』という意識を持っているので、自分に足りないスキルということはあまり意識していません。

その上で、プロマネに必要だと考えるスキルをひとつ挙げるとすれば「コミュニケーション力」だと思います。どんなプロジェクトも結局は人間関係の調整に尽きます。

対面での会話だけではなく、チャット、メール、電話、Web会議などコミュニケーションの手段は多岐にわたります。これらの特質を把握し、使いこなせることも大事かなと思います。

Q.3:PMのキャリアを歩む上で、特に成長を実感した瞬間はありますか?

高濱:そうですね、『高濱さん、プロジェクト案件があるんだけど空いてない?』とお声をかけて頂けるときには、自分もプロマネとして成長しているのかな、と感じます。

プロマネのスキルという意味で一番感じたのは、大規模なプロジェクトのWBSを一人で作成できるようになったときですね。プロジェクト開始からプロジェクト完了まで、すべてのタスクに関連をつけ切ることができ、そのプロジェクトを自分のものにできた感覚が自分の中に湧き上がったことを覚えています。

Q.4:PMとしての経験は他の仕事や私生活にも活かされていますか?

高濱:全体像をとらえてその中のどの部分を行うのか、というような視点で仕事を見るようになりましたね。これは人の上に立つポジションの役割であれば必要になる視点だと思います。

また、プロジェクトでは実に様々なキャラクターのステークホルダーが登場します。中には強引だったり、理不尽なことも経験しました。そういった経験を通じて、多少のことではあまり動じなくなるというか、人に優しくなれるようになったかもしれません(笑)

プロジェクト管理にはいろいろコツがあります。以下の記事を参考にしていただければと思います。

プロジェクトマネージャーのやりがいと魅力

Q.5:PMとして一番やりがいを感じるのはどんな瞬間ですか?

高濱:やはりプロジェクトをやり切ったときですね。そのプロジェクトが困難なものであればあるほど、成功させたときには何物にも代えがたい喜び、安堵、そして達成感があります。

Q.6:PMの仕事の面白さは、どんなところにありますか?

高濱:考え方やプロジェクトへの姿勢がバラバラな人たちとコミュニケーションをとり、みんなをまとめて一つの方向に向かわせるよう旗を振るところに面白さ、醍醐味があると思います。

Q.7:『PMの仕事が楽しい!』と思うのはどんなときですか?

高濱:個人的にはスケジュール管理表を作成しているときですね。 WBSでタスクの細分化を行い、工数を洗い出し、前後関係をつけてスケジュールを決めていく。この一連の作業によってプロジェクトの全体像を自分の中で腹落ちさせる。この作業が私はとても好きです。

Q.8:ステークホルダーとの関係構築で嬉しかったエピソードを教えてください。

高濱:お客様から「プロマネとして高濱さんがきてくれて本当によかった」という言葉を頂いたとき、本当に嬉しく感じます。

Q.9:一般的に“PMは激務”と言われることが多いですが、それでも続けている理由は何でしょうか?

高濱:確かに激務ではありますが、プロジェクトを通じて自分を成長させることができる、という意識が強いからかもしれません。そして、プロジェクトが終わった時の達成感をまた味わいたくなってしまうのですよね。あとは、報酬額が高いということもやはりありますね(笑)

PMに年齢は関係ありませんが、私のように50代になってもいろんな経験を積んだからこその知見、安心感や信頼感を売りにできます。つまり息の長い仕事なのですね。PMのキャリアパスについては、以下の記事を参考になさってください。

PMに必要なスキルと求められる資質

Q.10:優秀なPMにはどのようなスキルが求められると感じますか?

高濱:いろいろありますが、私がPMとして優れていると感じる方は、以下のような素養をお持ちですね。

  • コミュニケーション能力が高い
  • 人の話を受け止める度量を持っている
  • 芯が通っている
Q.11:「PMに向いている人」とはどんな人だと思いますか?

高濱:プロマネは人の数だけタイプがあるので正解というのはありませんが、私の所感では以下ができる方はPMに向いていると思います。

  • ストレスをうまく発散できる
  • 先頭に立って人を引っ張っていくのが好き
  • 人とのコミュニケーションが好き
Q.12:チームやクライアントと意見が対立した際は、どう解決していますか?

高濱:一般的には対立している点が何かを整理し、それぞれの主張の根拠を見定め、一致点がないかを模索するということが肝要かと思います。ただ、ケースバイケースで対処が変わってくると思います。

戦略的にクライアントの意見をのむ場合もありますし、相手のキーマンを見方につけてトップダウンで我々の主張を聞いてもらうこともあります。私の場合は、クライアントの主張をできるだけ受け入れる姿勢でプロジェクトを行っているため、どちらかというとプロジェクトチームメンバーを説得するということが多かったような気がします。

Q.13:PMとして働く中で、辛さやストレスを感じるのはどんなときですか?

高濱:「プロジェクトコストが予算をオーバーするとき」と「全体スケジュールの遅延が確定したとき」の2つが最もストレスを感じます。

Q.14:ストレスの多いPM業務を乗り切るためのメンタル管理術を教えてください。

高濱:これは性格だと思うのですが、私は自分ひとりで妄想してどんどん不安の種を育ててしまう癖があります。なので、できるだけ不安は一人で背負い込まないように、いろんな人と会話をして解消するように心掛けています。

あとは定期的にプロジェクトの事を一切考えない時間を作ることを意識しています。個人的にはスーパー銭湯に行って広いお風呂にゆっくり入るのが大好きです(笑)

PMとしての成長、スキルアップを目指すには

Q.15:PMとして成長し続けるために、普段どのような学習をしていますか?

高濱:プロジェクト管理のための勉強は、定期的に本を購入したりオンライントレーニングを受講しています。それ以外には、コーチングやメンタル管理などについても書籍、トレーニング等で学習しています。

Q.16:PM向けの研修や学習コンテンツで、特に役立ったものがあれば教えてください。

高濱:PMI日本支部が主催されているトレーニングはとても有益だと思います。PMPのPDUもついていますし、内容も充実しています。

トレーニングでいえば、受講後気軽に質問ができるオプションがついているものや場合によっては1対1でよもやま相談できるようなものがあれば、そういったトレーニングを探されるのも良いかと思います。

また、PM向けというわけではないのですが、問題解決を行う手法としてKT(Kepner&Tregoe)法*というものがあります。KT法の考え方は様々な問題を解決するのにたいへん役立ち、プロジェクトでも必ず有益だと考えます。こちらのトレーニングを受けて見られるのも良いかと思います。
*KT法:意思決定や問題解決のための思考プロセスを体系化した手法。「状況分析」「問題分析」「意思決定」「リスク分析」という4つの思考領域に分かれている。

Q.18:若手PMやこれからPMを目指す人に向けて、どのような経験を積むことを勧めますか?

高濱:まずは、今の仕事を一生懸命がんばって極めることが大事だと思います。プロマネとしての知識はもちろん必要ですが、自分の中に経験・知識の土台があるかないかでプロマネのふるまいは大きく変わります。

例えば私は、エンジニアとしてネットワークやIP電話システムに約10年携わってきました。そして、異なる技術分野のプロジェクトでも基礎的な思考は同じであることから、プロマネになってからもエンジニアとの議論や会話がスムーズでした。

なので、「誰にも負けない」位いまの仕事を極める姿勢で取り組むことを強くお勧めします。

Q.19:若手PMやこれからPMを目指す人に向けて、おすすめの学習方法はありますか?

高濱:PMBOKやIPAといった、一般に標準と認識されているプロマネの知識を習得するための学習は是非行ってください。そして、現役でプロジェクトに携わっておられる方が講師であるトレーニングをお勧めします。今現在のリアルな体験をもとに教えてくれるので、たいへん説得力があります。

タカハマプロジェクトでは、初めてプロジェクトを勉強する方向け、プロマネ経験者向けのトレーニング、さらに1対1での個別セッションをご用意しています。プロマネとしての学習を積みたい方はお気軽にお問い合わせください。

PMを目指す方にオススメの研修

この記事ではプロジェクトマネージャーのやりがいについて、現役のプロPMとして活躍中の高濱幸喜さんにお話を伺いました。PMに興味を持っている方にとって、参考になる意見が多くあったのではないでしょうか。

なお、高濱さんが代表を務めるタカハマプロジェクトでは、PMを目指している方に向けたトレーニングコースを用意しております。プロジェクトマネジメントの基本を知りたい方はもちろん、PM経験者に向けたトレーニングコースも用意しておりますので、プロジェクトマネージャーとしてスキルアップしたいという方も、お気軽にお問合せください。

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