マイルストーンとは? プロジェクト管理におけるマイルストーンの意味をわかりやすく解説

マイルストーンとは? プロジェクト管理におけるマイルストーンの意味をわかりやすく解説

プロジェクト管理において、非常に重要度の高いワードである「マイルストーン(milestone)」という言葉。ビジネスシーンでもよく耳にしますが、もしかすると意味をきちんと理解していないまま使っているという方も、少なくないかもしれません。

この記事では、マイルストーンの意味をわかりやすく紹介します。プロジェクト管理におけるマイルストーンの意味や、ビジネスシーンで置き換えられる言葉、またプロジェクトマネージャーがどのようにマイルストーンを設定しているかなどを、プロのPMとして数々のプロジェクトを成功に導いてきたタカハマプロジェクト代表の高濱幸喜さんの解説とともにお伝えします。

「マイルストーンとは?」について、わかりやすく解説しています。プロジェクト管理だけでなくビジネスシーンでマイルストーンを活用したいという方は、ぜひ記事を最後までチェックしてください。

プロジェクト管理における「マイルストーン」はどういう意味?

プロジェクト管理におけるマイルストーンは、“プロジェクトを実行する際の「中間目標地点」”という意味です。

プロジェクト管理では、開始から完了までの流れにおいて一定の期間ごとに目標を設定し進行していきます。マイルストーンは、その地点ごとの目標達成状況を確認するための「目印」と考えていただくとわかりやすいのではないでしょうか。

マイルストーンの語源

マイルストーン(milestone)という言葉は、距離の単位である「マイル(mile)」と、石という意味の「ストーン(stone)」からきています。もともとは、鉄道や道路などの距離(マイル)を測る際に石(ストーン)を印として使っていたためで、これがマイルストーンの語源と言われています。

マイルストーンは日本語では?

マイルストーンを日本語に言い換えると、物事の推移・発展の一過程を示すしるしである「里程標(りていひょう)」や​​、大きな目標や仕事などに向かう際の通過点、目印である「一里塚(いちりづか)」といった言葉になるでしょう。

ビジネスで使うマイルストーンと違いはあるの?

ビジネスシーンで使うマイルストーンと、プロジェクト管理におけるマイルストーンの使い方に違いはあるのでしょうか? その質問への回答は「違いはありません。どちらのシーンでも、中間目標地点という意味で使用されています」となります。

なお、マイルストーンには「道しるべ」という意味もあります。ですが、ビジネスシーンではあくまでも“プロジェクトの中間目標地点”という意味で使用されることが一般的です。

また、マイルストーンとよく似た意味を持つ言葉で、ドイツ語を語源とする「メルクマール(merkmal)」という言葉もあります。メルクマールの意味は、中間目標やゴールまでの道のりで、正確にはマイルストーンと多少意味が異なる部分もあります。ですが、マイルストーンとともにメルクマールも、ビジネスシーンで使用頻度が高い言葉です。

高濱 幸喜

マイルストーンは説明にもあるように、プロジェクト期間中に設定されるチェックポイントだと思ってもらえればよいと思います。

例えば、「完成したシステムを会社の役員にお披露目する」、「プロジェクトの成果物についてプレスリリースを行う」など、重要なステークホルダーへの説明や、世にお披露目するといったイベントがマイルストーンの例としてあげられます。

ガントチャートやWBSとは何が違うの?

プロジェクト管理においては、マイルストーンとともに「ガントチャート」や「WBS」という言葉もよく使用されます。いずれもプロジェクト管理では当たり前のように使用されている言葉となりますので、それぞれの違いをしっかり理解しておきましょう。

まず簡単に、WBSとガントチャートの意味をお伝えします。

WBSとは?

WBSとは、プロジェクト管理手法の一つで、日本語では「作業分解構成図」などと呼ばれています。Work Breakdown Structureを略したもので、Work(作業)をBreakdown(分解)したStructure(構成図)という意味です。

“プロジェクトを完了させるために、必要なタスクを階層的に整理しまとめたもの”と、とらえていただくと、理解しやすいかもしれません。

ガントチャートとは?

ガントチャートとは、スケジュール管理用のグラフのことです。作業を細分化し見える化したWBSに、スケジュール管理表をグラフ化したガントチャートをあわせて、タスクの進捗などを管理できるように使用されます。

そして、WBSとガントチャートを組み合わせたものを「スケジュール管理表」と呼びます。

上記のとおり、マイルストーンとWBS、ガントチャートはそれぞれ違うものですが、いずれもプロジェクト管理においては頻繁に使われる重要な言葉です。

WBS・ガントチャートとマイルストーンの関係性は?

マイルストーンの意味、そしてWBSやガントチャートとの違いを理解した後は、マイルストーンとWBSの関係性について紹介します。

マイルストーンは、WBSとガントチャートを組み合わせた「スケジュール管理表」の作成に大きく影響します。WBSで洗い出されたタスクに必要な工数を洗い出し、日数をガントチャートで表現するわけですが、クライアントの設定したマイルストーンまでに完了させなければいけないという制約が往々にして出てきます。

例えば、マイルストーンが思ったよりも早い時期に設定される場合、当初の想定よりも短い期間で完了させるべく人員を多く手配する必要が出てきます。マイルストーンの存在は、プロジェクトの計画に深く関わっています。

なお、WBSは「プロジェクトマネージャーにとって“最も重要なツール”」と言えるほど重要度が高いものとなりますので、WBSについてもしっかり理解を深めておきましょう。WBSについては、別の記事で詳しく解説しています。以下のリンクよりご確認ください。

プロマネがスケジュールを計画する際、マイルストーンが条件として設定されている場合と、自らマイルストーンを設定する場合があります。

前者は、マイルストーンの日程を変更できないことがほとんどで、非常にタイトなスケジュール計画を立てなければならない場合があります。後者は、お客様が特に何も意識していないケースですが、あえてプロマネがマイルストーンを設定します。

設定の仕方については続きをお読みください。

プロジェクト管理でのマイルストーンの設定の仕方

マイルストーンの意味を理解した後に気になるのは、実際のプロジェクト管理の現場での使用方法や、マイルストーンをどうやって作っていけばいいのかというところではないでしょうか。

前章でお伝えした通り、マイルストーンの作り方、つまりプロジェクト管理における目印の設置の仕方において、ポイントとなるのはスケジュール管理表です。スケジュール管理表を作成しなければマイルストーンを設定することはできませんので、まずはしっかり作成しましょう。

マイルストーンの書き方と設定時の注意点

マイルストーンを設置するためには、WBSで作成されたタスクを確認する必要があります。漏れがないよう丁寧にタスクの洗い出しを行い、スタートからゴールまでのスケジュールを組んでいきます。

そしてスケジュールの中の中間目標地点、重要な節目となる場所にマイルストーンを設定します。

クライアントから指定されたマイルストーンがある場合には、その日程から逆算してタスクが完了するようにスケジュールを組む必要があります。プロマネがマイルストーンを設定する場合、目安としてはプロジェクトのフェーズが変わるタイミングになります。ただし具体的な基準やルールのようなものはありませんので、各プロジェクトにあわせて決めていくことになります。

注意点としては、スケジュール上実現可能な設定となっているかどうか、タスクと混同しないか、数を多く設定しすぎていないかなどが挙げられます。ゴールに向けた目標の達成度合いを判断しやすくなるマイルストーンですが、多く設定しすぎるとスケジュール上の余裕や柔軟性を失う結果につながってしまう可能性があるります。

マイルストーンの見直しによるスケジュール変更が頻繁に発生してしまうと、ゴールまでのプロジェクト管理自体に大きな影響をおよぼすことになるため、注意しましょう。

本文にもありますが、マイルストーンはプロジェクトの節目に適切な回数を設定することで、非常に有効です。例えば重要なステークホルダーへの報告をマイルストーンとして設定することにより、プロジェクトに良い緊張感を持たせることができたりします。

逆に、マイルストーンの設定日がプロジェクトのタスクとは全く異なる理由で、想定より早い段階で設定されてしまうケースも多々あります。無理なマイルストーンの設定は成果物の品質低下につながってしまうことにもなりかねないので、適切に設定していきましょう。

適切にマイルストーンを設定し現場で活かそう!

この記事では、マイルストーンについて解説しました。プロジェクト管理におけるマイルストーンの意味や、ビジネスシーンで置き換えられる言葉。また、実際にプロジェクトマネージャーがどのようにマイルストーンを設定しているかなどもお伝えしましたので、マイルストーンについて理解し、プロジェクト管理の現場でご活用ください。

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