PMP資格とは? 合格者の勉強方法と勉強時間、受験資格に難易度を解説

PMP資格とは? 取得のメリットと難易度に勉強方法を解説

プロジェクトマネージャー(PM)の資格と言われると、多くの方の頭に浮かぶのが「PMP」ではないでしょうか。PMPは、Project Management Professionalの頭文字をとったもので、プロジェクトマネジメントのスキルを有していることを証明してくれる資格として、国際的に評価されています。

この記事では、そんなPMP資格の基本情報からPMP取得のメリットや難易度、勉強方法や受験の条件などを詳細に解説します。記事の監修は、実際にPMP資格を取得しているタカハマプロジェクト代表 高濱幸喜さんです。資格取得者による解説付きでPMP資格について紹介しますので、PMP資格取得を検討しているという方は、ぜひ記事を最後までチェックしてください。

PMPとは、プロジェクトマネジメントスキルを証明してくれる資格

PMPとは、プロジェクトマネジメントスキルを証明してくれる資格です。実施しているのはアメリカの非営利団体Project Management Institute(PMI)で、資格を取得すれば日本だけでなく国際的にプロジェクトマネジメントの専門知識を有していることを証明してくれる、非常に価値の高い資格と言えます。

なお、PMIはプロジェクトマネジメントの知識体系をまとめたガイドライン「PMBOKガイド」を発行している団体であり、PMP試験の内容はPMBOKガイドがベースの一つとなって作成されています。

PMP資格取得のメリットと、PMP資格の価値

PMP資格は、プロジェクトマネジメントスキルの向上といった日常の業務にも貢献してくれます。加えて、国際的に価値の高い資格のため、資格を取得できればキャリア面でも大きなメリットとなるでしょう。

PMP資格取得のメリット

  • プロジェクトマネジメントのスキルアップ
  • ステークホルダーからの信頼、評価の獲得
  • キャリアップ、転職の際のスキル証明
  • 人脈の広がり
  • 年収アップにつながる可能性がある
  • グローバルに活躍する足がかりに

上記メリットの通り、PMPはプロマネとしてさらなるキャリアアップを狙っている方や、PMとしてのキャリアを目指しているという方には、スキルレベルを証明してくれる価値の高い資格と言えます。

デメリットについては、受験費用が高額なこと、合格のために必要な勉強時間の長さがあります。また、これをデメリットというのは本来よくありませんが、合格後も3年毎に資格更新のためにトレーニングの受講やプロジェクト実績を積み続ける必要があるという点があげられます。

PMP資格の難易度や受験資格、受験費用や勉強方法については、次以降の章で詳しく紹介します。

高濱 幸喜

私がPMPを取得したのは、プロジェクトマネージャーとしての仕事を始めてから5年ほど経過してからのことでした。

私の場合はこれまで経験してきた過去のプロジェクトにPMBOKの考え方を当てはめて、「答え合わせ」を行うような形でPMBOKの勉強を行いました。それがそのままPMPの試験勉強になっていたように思います。

PMPの資格は難しい? 難易度を確認しましょう

前章で紹介したPMP資格取得のメリットを見れば、すでにPMとして活躍していてまだ受験したことがないという方は、『PMP取得を真剣に考えてみよう!』と思われるのではないでしょうか。ここからは、PMP資格の難易度についてお伝えしていきます。

PMP資格は、プロジェクト管理の分野では高難度の資格と言えます。合格率は公表されていないため正確な数値は不明ですが、60%ほどではないかと言われています。合格ラインは正解率60%台と言われており、受験費用の高さから気軽に挑戦できる資格ではないことを踏まえると、やはりPMP資格の難易度は高いと言えるでしょう。

なお、PMIの公式HPでみられる日本国内の資格保有者の数は、48,077人(*)となっています。

*2024年12月時点

PMP資格の受験条件は?

PMP資格には、受験資格が設けられています。「学歴」と「プロジェクトマネジメントの実務経験」で、下記の3つの要件のうちの1つを満たしていなければ受験することができません。

学歴プロジェクトマネジメント経験
1中等教育学校
(高校卒業、準学士号または海外の同等資格)
5年/60カ月以上にわたる、一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験
24年制大学卒業
(学士号または海外の同等資格)
3年/36カ月以上にわたる、一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験
3GAC認定プログラムによる学士号取得または大学院卒業
(学士号もしくは修士号、または海外の同等資格)
2年/24カ月以上にわたる、一意かつ重複しないプロジェクトマネジメントの実務経験

上記の学歴と経験に加えて、PMP資格受験には35時間の公式なプロジェクトマネジメント研修を受講して、ようやく受験要件を満たすことができます。

PMP資格の受験費用とPMI会員になるメリットは?

PMP資格の受験費用は、PMIの会員と非会員で金額が異なります。

PMP資格の受験費用
  • PMI会員 :405ドル(約62,256円*)
  • PMI非会員:655ドル(約100,686円*)

PMI会員の方は、非会員の方よりも低い金額でPMP資格を受験することができます。PMI会員には、初年度で152.9ドル(約23,503円*)の年会費がかかりますので、実際は405ドル+152.9ドル=557.9ドル(約85,760円*)で、PMP資格の初回受験に挑むことができます。

初回受験としたのは、PMP資格は再受験の場合、受験料が変更になるためです。

*2024年12月のレートでの金額

また、PMP資格は3年毎に更新をする必要がありますが、PMI会員の方は更新費用が割引され60ドルで済むのに対し、非会員の方は150ドルが必要になります。PMP受験費用の割引に加えて、PMI会員になるメリットとしてPMBOKガイドを無料で入手できる。さらにアジャイル実務ガイドの無料ダウンロード、無料のeラーニングといった点もメリットに挙げられます。

PMI会員になるメリットまとめ

  • PMP受験費用の割引
  • PMP資格更新費用の割引
  • PMBOKガイド(PDF版)の無料ダウンロード
  • 無料のeラーニング

PMPの試験を申し込む際、自分の実績を記載するのですが、PMを担当した案件である必要はありません。プロジェクトの中で、自分はどのポジションに関わっていたのかを書けばよいのです。

例えばエンジニアとして参加したのであれば、エンジニアとしてプロジェクト管理にどう関わっていたかをアピールすれば大丈夫です。

あと、申込書に自分の実務経験を証明してくれる人を記載する必要があります。そして応募者の何%かなのですが、記載した実務経験が正しいかどうかを確認するため証明者に対して問い合わせが来ることがあります。

これは実績が正しいと答えてもらうしかないので、名前を借りる人にはその旨伝えておきましょう。

資格取得者から学ぶ、PMP資格の勉強方法

ここまで、PMP資格の基本情報をご紹介してきましたが、ここからはPMP資格取得に向けた勉強方法をお伝えしていきます。

勉強方法は、基本的に参考書を何周か読み自分なりにまとめた後、問題集を何度も何度も繰り返し解くという方が多いようです。問題は英語で出題されますが、機械翻訳をかけることは可能です。ただ、問題を正確に理解するためには原文の英語から理解することも重要になりますので、英語の問題にも慣れておくことも試験対策になります。

本記事でご紹介する勉強方法は、実際にPMP資格を取得している方の監修による勉強方法になりますので、資格取得を目指している方にとっては大いに参考になるのではないでしょうか。

試験内容は「人」「プロセス」「ビジネス環境」の3領域から

PMP資格の試験内容は、「人」「プロセス」「ビジネス環境」の3つの領域から出題されます。各領域での割合は、人:42%、プロセス:50%、ビジネス環境:8%です。

問題は全部で180問あり、試験時間は230分。180問のうち、スコアに関係のない問題が5問あり、採点対象となるのは175問です。試験中は、60問回答する毎に1回10分間の休憩時間が設けられています。

出題形式は、4択選択式、複数選択や空欄穴埋め、マッチング選択が組み合わさっています。

PMP資格の試験内容に関する詳細は、下記のPMI PMP試験内容の概要をご確認ください。

■PMI「PMP試験内容の概要

PMP合格者が実際にやった勉強法

ここからは、実際にPMP資格を受験し合格した方がどのように勉強したのかを、お伝えします。

監修者コメント:私がPMP合格までにやったことをご紹介します。

  1. 外部トレーニングの受講

5日間の外部トレーニングを受講しました。3日間はPMBOKの座学、2日間は練習問題をひたすら解くというものでした。お金と時間に都合が付けられる場合は、まずこういったトレーニングを受けることをお勧めします。重要な部分を体系立てて説明してくださるので、PMBOKの概要を把握することができます。

  1. 試験日の設定

トレーニングを受け、自分のレベル感と必要とおもわれる勉強時間を考えて試験日を設定します。私の場合は、

  • PMBOKの内容再理解(自分なりに理解したノートの作成):1カ月
  • 練習問題の実施:1カ月

として、2カ月後に設定しました。

  1. PMBOKの内容再理解

外部トレーニングを使って、PMBOKの内容を再理解する作業に入りました。私の場合はノート派で、テキストに書いてある図をそのまま覚えるのではなく、自分なりに理解できる図に「書き直す」「まとめなおす」ということを行っていきました。

ちなみに、私のまとめたノートはこんな感じです。(汚い字についてはご容赦くださいませ)

PMP合格者の勉強法
  1. 練習問題をひたすら解く

この後、ひたすら問題を解くことに時間を使いました。私が受験したときはPMBOK第5版でしたので、今は問題集の内容が全然違うと思いますので、適切な問題集を入手ください。

以上、私がPMPを受験するためにやったことになります。

難易度の低くないPMP資格、合格者の勉強時間はどれくらい?

PMP資格は合格率が公表されていませんが、実際に合格した方はどのくらいの勉強時間で合格したのでしょうか? PMP資格取得のために必要な勉強時間の目安は、おおよそ100時間と言われています。

もちろん各自の知識量やスキル、経験が関係してくるため、一概にお伝えすることはできません。100時間未満の勉強時間で合格した方や、200時間かけて合格したという方もおりますので、まずは一度問題を解いてみて自身の現在地を把握し、そこから必要な勉強時間を計算し、勉強のための時間を確保していくというアプローチがいいのかもしれません。

先ほど私が実際にやった勉強ですが、「PMBOKの内容再理解」に平均して平日2時間、週末10時間の約88時間くらいかけたと思います。

そして、「練習問題」にかけた時間は、平均して平日3時間、週末12時間の約108時間くらいだったと思います。外部トレーニングの時間も入れると、私の場合200時間程度になるのかなと思います。

やり方はいろいろだと思いますが、「資格試験のための勉強期間はあまり長くとらず、短期間に集中して勉強するほうがよい」というのが個人的な考え方です。

合格者の勉強法を参考にPMP資格取得を目指そう!

この記事では、プロジェクトマネジメントのスキルを国際的に証明してくれる資格「PMP」についてご紹介しました。受験資格や受験費用、試験内容といった基本情報から、合格者による監修とともに勉強方法についても解説しましたので、PMP資格取得を目指している方は参考にし、PMP資格取得を目指してはいかがでしょうか。

なお、タカハマプロジェクトでは「ビギナー向け」「PM経験者向け」にトレーニングコースをご提供しております。また、1 on 1の個別セッション「プロマネお悩み駆け込み寺」を個人・法人どちらにもご用意しております。ご興味をお持ちの方は、下記ボタンよりお気軽にお問合せください。