
プロジェクトマネジメントの国際資格として広く知られる「PMP資格」。取得すれば世界中で通用するプロジェクトマネージャー(PM)としてのスキルの証明となり、キャリアアップや年収アップにもつながる可能性があります。
しかし、受験を検討する際にまず気になるのが「費用面」ではないでしょうか。PMP資格の受験料とともに、会員費や資格維持に必要な年会費、研修・教材費、さらには更新にかかる費用まで考慮する必要があります。
本記事では現役のPMP資格保有者による監修のもと、PMP資格の費用ガイドとして取得費用・維持費・更新費・再受験費用などをご紹介します。これからPMP資格取得を目指す方は、取得から維持・更新までに必要な費用の見通しを立てるための参考にしてください。
PMPとは?
PMP(Project Management Professional)とは、米国PMI(Project Management Institute)が認定する国際資格で、プロジェクトマネジメント分野で最も権威のある資格の一つです。受験には一定の実務経験と研修受講が必要で、PMPを取得することができれば世界共通の基準でプロジェクトマネージャーとしての知識・スキルを証明できます。
PMP資格の持つ価値
PMP資格は、単なる知識試験ではなく、実務経験に裏付けられたPM能力を国際的に保証するものです。そのため、グローバル企業や外資系企業をはじめ、多くの組織がPMP取得者を高く評価しています。
また、PMBOKの体系的な知識をベースにしているため、プロジェクトマネジメントの標準手法を理解していることの証明にもなります。プロジェクト成功率の向上やチームリーダーとしての信頼獲得にも直結する資格です。
PMP取得で年収は上がる? 転職には役立つ?
PMPはキャリアに直結するメリットが大きい資格といわれています。求人市場では「PMP保有者歓迎」や「PMP資格保持を条件」とする企業も少なくなく、転職活動において大きなアピールポイントになります。
また、PMIの調査によれば、PMP保持者は非保持者に比べて年収が平均で10〜20%高い傾向があるとされています。国内外を問わず評価されるため、グローバルに通用するキャリア形成を考えている方にも有効な資格です。
私がPMPを取得したのは前職のサラリーマン時代です。勉強時間を比較的まとまってとることができた時期に集中してPMPを取得しました。
自分と一緒に仕事をしてきた方は自分の経験や仕事ぶりを知ってくれていますが、独立してから初めて仕事をする相手に対しては、やはりPMPを所持していることで一定の信頼を得られたように思います。
PMP資格取得にかかる主な費用
PMP資格を取得するには、複数の費用が発生します。最も大きいのは「受験料」で、PMI会員の場合は約4万円弱、非会員の場合は約6万円強です。加えて、資格を維持するためには「年会費(PMI会員年会費:約1.3万円)」が必要となります。
さらに、受験資格を得るための「公式研修費(数万円〜数十万円)」や、独学であっても「教材・オンライン講座費(数千円〜数万円)」を見積もる必要があります。
その他、更新の際には追加費用が発生します。単純な受験料だけでなく、トータルコストを把握しておくことが、計画的な学習と資金準備につながります。
- 受験料:会員約4万円/非会員約6万円
- PMI会員費:入会費+年会費で約1.5万円
- 年会費:資格維持に必要(1.3万円程度)
- 研修費:5万円〜
- 教材、オンライン講座:数千円〜数万円
PMP資格は更新が必要?
PMP資格は取得して終わりではなく、3年ごとに更新が必要です。更新には「PDU(Professional Development Unit)」と呼ばれる継続学習ポイントを60単位取得しなければなりません。
PDUは研修、セミナー、自己学習などで獲得できますが、無料で得られるものもあれば、有料講座で費用が発生する場合もあります。
さらに、更新申請には150ドル(会員は60ドル)の更新料が必要です。更新を怠ると資格が失効してしまうため、取得後も計画的に学習やセミナー参加を続ける必要があります。資格維持にかかる費用も長期的に見積もっておくと安心です。
PMPを取得した後も、記事にあるとおり継続して研修を受けたり、PMとしてのスキルを維持する活動が必要です。
ただし、PDUの取得については、必ずしも有料のトレーニングを受ける必要はなく、実案件の対応や自分でトレーニングを提供する、あるいは必要な本を読むといった形での取得も可能です。
このあたり様々なサイトを検索されれば取得方法のコツが出てくると思いますので、自分に合った形で計画的に取得していきましょう。
PMP資格の難易度
PMPは国際的にも難易度が高い資格の一つとされます。出題範囲が広く、IT系に限らず建設や製造業など幅広い業界で通用する内容が問われます。合格には、知識暗記だけでなく実務経験に基づく理解と応用力が求められるため、しっかりとした学習計画が必要です。
PMP資格に必要な勉強時間
PMP合格に必要な勉強時間の目安は100時間以上といわれています。社会人が仕事と並行して学ぶ場合、1日2時間の学習を続けても4〜5か月は必要です。
学習範囲はPMBOKを中心とした広範な内容であり、用語の理解だけでなく、ケーススタディや過去問題集を通じて実践的に身につけることが重要です。効率を高めるには、通信講座やオンライン学習を活用するのも有効です。
PMP資格の合格率
PMPの公式な合格率は公表されていませんが、各研修機関のデータや受験者の声から推定すると、合格率は50〜60%程度ではないかといわれています。難易度は決して低くなく、特に独学の場合は十分な準備が求められます。
ただし、体系的に学べる研修や模擬試験を取り入れることで、合格率は大きく向上します。しっかりと学習計画を立て、必要な投資を行えば合格は十分可能です。
費用と学習計画を事前に整理し、キャリアアップへつなげよう
PMP資格は、国際的に通用するプロジェクトマネジメントの専門資格であり、キャリア形成や年収アップに直結する価値ある資格です。しかし、その取得と維持には受験料、会員費、研修費、教材費、更新料など複数の費用がかかるため、計画的な準備が欠かせません。
特に、3年ごとの更新制度や継続学習(PDU取得)も見据えておくことで、資格を失効させるリスクを防げます。難易度は高いですが、体系的な学習と十分な時間を確保すれば合格は十分可能です。これからPMPを目指す方は、費用と学習計画を事前に整理し、確実にキャリアにつなげていきましょう。
監修者紹介
高濱 幸喜(たかはま ゆきよし)
タカハマプロジェクト株式会社 代表取締役/PMP®資格保有者
20年以上にわたり、IT・通信・金融・製薬業・製造業・建設業など多様な業界でプロジェクトマネージャーとして活躍。PMBOKに基づくプロジェクトマネジメント手法を現場で実践し、数百件を超えるプロジェクトを成功に導いてきた実績を持つ。現在は研修やセミナーを通じて、次世代のプロジェクトマネージャー育成に注力。プロマネ道場では記事監修を担当し、読者に信頼性の高い情報を届けている。
タカハマプロジェクトでは、プロジェクトマネジメントについて学べるトレーニングコースを、「ビギナー向け」「PM経験者向け」にそれぞれご用意しております。
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