IPA「プロジェクトマネージャ試験」を知ろう! 試験内容に勉強時間、その難易度は?

IPA「プロジェクトマネージャ試験」を解説

プロジェクトマネージャー(PM)の立場に興味を持った方は、プロマネとしてスキルアップのために、PMの資格取得を検討されているという方も多いのではないでしょうか。プロジェクトマネージャーの知識やスキルを証明する資格はいくつかありますが、この記事では「プロジェクトマネージャ試験」をご紹介します。

プロジェクトマネージャ試験の試験内容から受験資格、試験合格の難易度と目安となる勉強時間、勉強方法といった詳細をお伝えしていきます。PMとしての成長やスキル証明のための資格取得を検討している方は、ぜひ記事を最後までチェックしてください。

IPA「プロジェクトマネージャ試験」って?

「プロジェクトマネージャ試験」は、IPAが主催する情報処理技術者試験の一つです。IPAは、プロジェクトマネージャ試験がどのような方を対象にしているかについて、公式HPに次のように記載しています。

“プロジェクトを取り巻く環境変化やステークホルダの多様な要求に柔軟に対応しながら、プロジェクトを確実に成功に導くマネージャを目指す方に最適です”

引用:IPA公式HP

プロジェクトマネージャ試験は、国内のIT業界では高い認知度を誇っていて、プロジェクトマネージャーとしてのスキルを有していることを証明できる資格です。経済産業省が認定するエンジニアに向けた情報技術者試験の国家資格で、その中でも最難関の試験の一つとされています。

試験を実施する「IPA」とは?

プロジェクトマネージャ試験を実施するIPAとは、情報処理推進機構のことで経済産業省所管の独立行政法人です。

IPAは経営理念に、“デジタル基点で形成される産・学・官の協調関係を通じて、多彩なスキル・知見・経験を持つ各界の人材をつなぐ場を創出し、かつデータを社会の共通資産として共有・活用する仕組みを整えるさまざまな取り組みを展開していく”を掲げています。

また、プロジェクトマネージャー試験以外にも「ITパスポート」や「情報セキュリティマネジメント試験」などのさまざまな資格を実施しており、国内のIT業界では有名な存在です。

そもそもプロジェクトマネージャーって?

そもそもプロジェクトマネージャーとは、プロジェクトの責任者としてプロジェクト全体のマネジメントを行い、プロジェクトを成功に導く役職のことを言います。

プロジェクトの数だけPMのポジションは存在し、さまざまな手法やスキルを駆使し、プロジェクトならびにプロジェクトチームのメンバー、コストやリスクを管理してプロジェクトを成功に導くのがプロジェクトマネージャーです。

プロジェクトマネージャーについては「プロジェクトマネージャーの仕事とは? PMの仕事内容を徹底解説!」で詳しく紹介しておりますので、こちらの記事よりご確認ください。

高濱 幸喜

プロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験の中でも難易度の高い試験です。

マネ系の資格として有名な「PMP」と比較してみても、合格するための努力は負けず劣らず必要だと考えます。

ただし、試験の方式が異なるので準備すべき内容が異なってきます。詳細は次の項を参照ください。

プロジェクトマネージャ試験の内容は?

プロジェクトマネージャ試験の内容は、試験要綱・シラバスに記載されています。実施方式は筆記で、午前と午後の2部制に分かれていて、それぞれ午前Ⅰと午前Ⅱ、午後Ⅰと午後Ⅱの4部で構成された試験を行います。

午前Ⅰと午前Ⅱは選択式で、午後Ⅰと午後Ⅱは記述式、論述式という出題形式です。試験要綱によると問題は、以下の内容から出題されます。

【午前の試験】
  • プロジェクトマネジメント
  • セキュリティ
  • システム開発技術
  • ソフトウェア開発管理技術
  • サービスマネジメント
  • システム企画
  • 法務
【午後の試験】
  1. プロジェクトの立ち上げ・計画に関すること
  2. プロジェクトの実行・管理に関すること
  3. プロジェクトの終結に関すること

プロジェクトマネージャー試験の試験時間や出題形式、出題数(解答数)、基準点は下記の表でご確認ください。

プロジェクトマネージャ試験概要

試験時間出題形式出題数(解答数)基準点
午前Ⅰ50分多肢選択式(四肢択一)出題数:30問
解答数:30問
60点
午前Ⅱ40分多肢選択式(四肢択一)出題数:25問
解答数:25問
60点
午後Ⅰ90分記述式出題数:3問
解答数:2問
60点
午後Ⅱ120分論述式出題数:2問
解答数:1問
ランクA

※2024年のプロジェクトマネージャ試験

受験資格はあるの?

プロジェクトマネージャ試験に受験資格はなく、どなたでも受験することが可能です。

ただプロジェクトマネージャ試験は、情報処理技術者試験制度の中で最高位である「スキルレベル4」の試験に位置付けられている難関資格です。合格率に関しては後述しますが、合格者の平均年齢は38.1歳と発表されており、知識に加え実務経験を兼ね備えているほうが合格に近づけると言えるでしょう。

なお、受験料は7,500円(税込)となっています。

試験が行われるのは秋期(10月)の年に1回だけ

続いて、プロジェクトマネージャ試験の日程を紹介します。プロジェクトマネージャ試験は、毎年秋期(10月)の年1回実施されています。例年10月の第2日曜日が試験日となっていて、2025年(令和7年)は10月12日(日)に実施予定となっています。

申込受付期間は、決まり次第発表される予定になっていますが、例年だと7月上旬から下旬までが申込受付期間になっています。

午前Ⅰについては、他の試験(データベーススペシャリスト、エンベデッドシステムスペシャリスト、システム監査技術者、情報処理安全確保支援士)と共通の問題です。なので出題範囲が前出の内容になっております。

午前Ⅱはプロジェクトマネジメントに関する問題に特化しています。午後Ⅰはあるケースについて読み解く問題、午後Ⅱは自身の経験をもとにした長文の回答を求められます。

プロジェクトマネジメント以外の分野の勉強や小論文の練習など、選択式のみのPMPとは違った準備が必要となります。

プロジェクトマネージャ試験の難易度

本記事をここまでお読みになった受験検討中の方が気になるのは、プロジェクトマネージャ試験の難易度、合格率ではないでしょうか。プロジェクトマネージャーの資格では、合格率が公表されていない資格もありますが、プロジェクトマネージャ試験は合格率が明らかにされています。

プロジェクトマネージャ試験の合格率

プロジェクトマネージャ試験の平均合格率は13%〜15%で、2023年秋の受験者数は7,888人で、合格者数は1,066人、合格率は13.5%でした。合格者の平均年齢は先にお伝えした通り、38.1歳となっています。

13%〜15%という低い合格率を見るだけで、プロジェクトマネージャ試験の難易度の高さが伝わります。ほかのプロジェクトマネージャーに関する資格と比較しても、最も難易度の高い資格と言えるかもしれません。

プロジェクトマネージャーに関する資格については、下記の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご確認ください。

勉強時間の目安はどのくらい?

プロジェクトマネージャ試験に合格するには、どれだけの勉強時間が必要なのでしょうか。試験範囲は、プロジェクトマネジメントのことだけでなく、セキュリティやシステム開発、法務と多岐に渡り、午後には記述式・論述式の問題が待っているため、幅広い知識を身につけなければいけません。

目安としては、100〜300時間の勉強時間が必要と言われています。実務経験のある方で100時間〜、実務経験のない方で300時間〜というのが目安になっているようですが、それぞれの知識や経験によって必要な勉強時間は変わってきます。

本業とのバランスをとりながら、どれだけ勉強時間を確保できるかなども考慮して、試験に挑戦するか判断しましょう。

過去問は公式HPで入手できる

プロジェクトマネージャ試験の過去問は、IPAの公式HPから入手することができます。

■公式サイト:https://www.ipa.go.jp/shiken/mondai-kaiotu/2023r05.html#aki_pm

選択式、記述式、論述式の各問題と解答例が無料でダウンロードでき、記述式、論述式は、採点講評も入手することができます。プロジェクトマネージャ試験に挑戦する方はご活用ください。

基本は、過去問を解いてみることから始まると考えます。その後、問題集をこなすことになります。

午後Ⅱについては自身の経験をもとに記述することから、あらかじめある程度のシナリオを何パターンか書く練習を進める必要があります。

年に1回しか受験のチャンスがありませんが、逆に言えば最長1年は準備期間があるということにもなります。作文の練習はそれなりに時間を要するため、早めに計画を立てて準備を進めるようにしましょう。

プロジェクトマネージャ試験でPMスキルを証明

この記事では、IPAが実施している「プロジェクトマネージャ試験」についてご紹介しました。試験内容から受験資格、試験日程に合格の難易度、目安となる勉強時間もお伝えしましたので、プロジェクトマネージャ試験合格を目指している方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

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